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作者:,ミユキルリア
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-02-25(overlap)
价格:¥650 原版
文库:overlap文库
丛书:神話伝説の英雄の異世界譚(7)
代购:lumagic.taobao.com
神話伝説の英雄の異世界譚 7 目次 序章 第一章 狂い始める歯車 第二章 希望を抱き、悲哀に沈む 第三章 絶望の先で 第四章 希望を抱く者たち 第五章 闇より這い出る絶望 終章 序章  死臭が漂っていた。  嗅覚が狂うほど禍々しく、胸が焼けつくほど生々しい悪臭が、空気を侵食している。  草原を覆い尽くすのは焼け焦げた兵士の死体、誰もが苦悶の表情で息絶えていた。  風が吹けば戦場の名残である熱気が辺り一面に広がりをみせる。 「行かれるのですか?」 「ああ……」  物言わぬ骸が埋め尽くす情景の中で、紫銀の少女に、その人物は答えた。  地面に落ちた旗の残骸を拾い上げた人物の表情を窺い知ることはできない。  なぜなら、その人物の顔は仮面で覆い隠されていたからだ。 「これは始まりにすぎない」  抑揚のない声音から男性だということを察することができる。  しかし、悲しんでいるのか、笑っているのか、喜怒哀楽を一切感じることができない。  死と憎悪に満たされた戦場跡で、仮面の男は首をぐるりと回して周囲を見渡す。  仮面の奥底――闇に包まれた右眼には黄金の光が滲んでいた。 「停滞していた千年の時が動き始めた」  仮面の男は静かに一歩踏み出した。  血で黒く塗り固まった雑草を踏みつけながら、躊躇いもなく悠然と歩を進めていく。  彼の歩みを止める者は、この世界には存在しない。  死華が咲き乱れた世界で、彼以外の生者は存在することが敵わないかのように。 「世界に騒乱が――〝転換期〟が訪れたのだ」  誰かに告げるわけではない。  しかし、その声は誰かに聞き届けてほしいと願うかのように震えている。  されど、彼に返事を寄越す者は、この場所には存在し得なかった。 「終着点は決まっている」  天空に手を掲げる仮面の男は、太陽を力強く握り締めた。 「――全ては一つなのだから」 第一章 狂い始める歯車  早朝――陽が昇って間もない、空の端が未だ靄がかかったように薄暗い時刻だ。  朝霧が辺りを包み込むことで、街は水底に沈むようにして消えている。  地上が見えない中、遥か東の果てに見えるのは、勇壮なるグラオザーム山脈で、肌寒い午前の陽光を浴びながら頂上に積もる白雪を輝かせていた。  そんな幻想的な白煙の世界で、静寂とは不釣り合いな音が鳴り渡る。  物騒で心