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作者:斧名田マニマニ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-25(集英社)
价格:¥600 原版
文库:DashX文库

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死んでも死んでも死んでも死んでも忘れないと彼女は泣いた この本は縦書きでレイアウトされています。 目  次 一章 六月の夢と、待ち焦がれた再会 二章 六月の幻と、失われた絆 三章 六月の焦燥と、彼女の大事な日記帳 四章 七月の決意と、一方通行な恋心 五章 七月の星空と、忘れないでこの日々を 六章 八月の瞬きと、江ノ島デート 七章 八月の祈りと、眠り姫におやすみを ダッシュエックス文庫DIGITAL 死んでも死んでも死んでも死んでも忘れないと彼女は泣いた 斧名田マニマニ        【1】  六月十八日の午後四時三十分、特別な約束の日。  小糠雨に包まれた青白い世界の向こうで、傘をさした少女が佇んでいる。  龍口寺の境内はひっそりと静まり返って、俺と彼女以外、人気はなかった。  彼女はまだ、こちらの存在に気づいていない。  それをいいことに、俺は境内の入口に立ったまま、小柄で華奢な後ろ姿を観察した。  由依が好きそうな淡い色のワンピースと、由依が好きそうな苺柄の傘――……。  ……由依、だよな?  確信に近いものを感じながらも、一応、慎重に声をかける。 「えっと、あのー……。……由依、か……?」  ハッと息を吸う気配とともに、華奢な肩が揺れ、彼女が静かに振り返った。 「りょう……すけ……?」  俺の名前を呼んだ声は、以前より低くなっていた。  変化が現れているのは、声だけじゃない。  話に聞いていたとおり、振り向いた彼女の容姿は、俺の知っている支倉由依のものとは違っていた。  口や目や鼻の形が、若干、異なる。  人を寄せつけない雰囲気も、前より増した気がする。  俺の知っている由依は、もうどこにも存在しないんだ。  否応なしに喪失感がわき上がり、胸の奥がひどく痛んだ。  ……って馬鹿か、俺は。  何を考えている。  去年の夏の終わりに決断したことを、しっかり思い出せ。 『顔が変わっても、声が変わっても、同じ記憶を持ってる限り、俺はその存在を支倉由依と認識する』  そう答えを出したじゃないか。 「……ねえ陵介」  由依は小さめの歩幅で、ゆっくり俺の傍までやってきた。 「……あのね、……私が誰か、ちゃんと理解できる?」  ふてくされているみたいな顔をしていても、声音には不安の色が滲んでいた。  だから俺は慌てて頷き返した。 「あ、当たり前だろ…