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作者:牧野圭祐
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-12-25(小学馆)
价格:¥658 原版
文库:Gagaga文库

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月とライカと吸血姫 小学館eBooks〈立ち読み版〉 月とライカと吸血姫 牧野圭祐 イラスト かれい 目次 〈前 奏〉 прелюдия 〈第一章〉 吸血姫と翼竜 〈第二章〉 宇宙飛行士への道 〈第三章〉 夜間飛行 〈間 奏〉 интерлюдия 〈第四章〉 血の契り 〈第五章〉 神の領域へ 〈終 奏〉 постлюдия あとがき 前奏 прелюдия  緋の瞳 Очи алый 「虹の入り江……」  霧に煙る、凍てつく夜。  雪の積もった古城のバルコニーで、幼い少女が銀色の満月を見上げ、寂しげに囁く。 「夢の湖……」  土埃で汚れた真紅のロングドレス。  折れそうなほどに細い手足。  白磁のように透きとおった肌。  可愛らしい口に不釣り合いな牙が、ちらりと見える。 「眠りの沼……」  古の歌を詠唱するように、ひとつひとつ、大切に紡ぐ。 「嵐の大洋……」  漆黒の髪が風でなびき、ツンと尖った耳が露わになる。 「蒸気の海……」  少女は小さな宝石のついた首飾りを外し、月にかざす。  透明の結晶のなかに、穢れなき青い光が煌めく。  月にかかるように、碧のオーロラが浮かび上がった。  薄紅の瞳が、深緋を帯びる。 「……私の想い……」  囁きは夜風に吹かれ、焼け野原となった森へ消えていく。  少女は手を組み合わせ、満月を見つめる。儚い祈りを秘めて。ただ、静かに。  藍の瞳 Очи индиго  戦闘機の木製模型がいくつも飾られた部屋で、灰色がかった金髪の少年が母に傷の手当てをされている。空に憧れる少年は、木の棒に布を張った自作の翼で屋根から飛び、西洋鎌柄アローニヤの灌木に墜落したのだ。  母は鬼のような形相で、少年を叱り飛ばす。 「馬鹿なことするとノスフェラトゥが飛んできて、首筋に噛みつかれるよ!」 「やめてよ……!」  少年はぶるっと震え、両手で首を包むように隠した。  ノスフェラトゥとは、ツィルニトラ共和国の伝承に登場する恐ろしい吸血種族である。ほかにもウピル、ネラプシ、ストリゴイなど数多くの吸血怪異譚があり、それらの化け物は一部の例外を除き基本的に実在しないのだが、子どもたちはその名を聞くだけで縮み上がった。  近くで蒸留酒ジーズニを飲んでいた父も母に便乗する。 「吸血種族なんかに怯えてる意気