弱キャラ友崎くん Lv.3
小学館eBooks〈立ち読み版〉
弱キャラ友崎くん Lv.3
屋久ユウキ
イラスト フライ
目次
1 仲間を揃えて最初の町に戻ると新しいイベントが起きたりする
2 最適なレベル上げポイントはだんだんと変わっていく
3 多人数プレイには多人数プレイなりのよさがある
4 たった一つの選択肢がすべてを変えてしまうこともある
5 難関ダンジョンの扉の鍵は身近なキャラが持っていたりする
6 ヒロインにしか装備できないアイテムには特別な効果がある
あとがき
1 仲間を揃えて最初の町に戻ると新しいイベントが起きたりする
夏休みが始まって一日目。
まず最初に言えることは、俺の夏休みは初日から、夏休みじゃなかった。
「うん。案の定しょうもない服装で来たわね」
午前十一時。俺が大宮駅の待ち合わせスポット『まめの木』に到着するやいなや、投げかけられたその言葉。こんな歯に衣着せなさすぎる毒を吐いてくる人物なんて当然、一人しかいない。
そこで待ち構えていたのは、学園のパーフェクトヒロインであり、俺にとっては『人生』の師匠である、日南葵だ。
「そ、それを言うな」
「ふうん。ってことは、自分でもひどいってわかってるのね?」
日南は腕を組んですこぶる偉そうに言う。
「ま、まあ……」
みみみとの選挙戦や、その後のいろいろなすれ違い。そういう出来事が夏休みの直前まで重なったことで、ここのところあまり聞いていなかった日南の毒舌だったけど、落ち着いてみればあっさりと復活。ブランクを一切感じさせない鋭さで、俺の心をグサグサと突き刺してくる。
「ちょっとはマシにしようと努力した? それ」
「い、一応は……」
俺は完全に圧し負けながらも、下を向いて自分の服装を確認する。というのも、いま俺が着ているのは、こいつに言われてマネキン買いした服装ではないのだ。
謎の英語が書いてあるなんか使用感のあるTシャツに、中学の頃に買ってから今に至るまで履いている、膝丈くらいのジーパン。つまりはもともと俺が持っていた、親と一緒にイオンで選んだ洋服たち。靴は一応、このあいだセットで買ったものを履いている。
「努力が見えないレベルでひどいわね」
「けど、俺なりに一応考えてきてだな……」
なんでマネキン買いした服を着ていないかというと──それらの服は長袖に長