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作者:水瀬葉月,ももこ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-06(ASCII Media Works)
价格:¥630 原版
文库:电击文库

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悪逆騎士団 そのエルフ、凶暴につき    第一話 『事件が終わった数日後』  最初が肝心だ。けっしてナメられてはいけない。  その扉の前に立ち、マリアーナ・ガンスロットは大きく深呼吸した。  代々の紋章王が統治するゼルディバッソ紋章国の東端、大森林にほぼ隣接した位置に存在する街──ニルイースト。その一角にある建物の扉だ。  実際に来るのは初めてだが、とんでもない街だ、と思う。  街に入ってからここに来るまでの間に、三回ほど子供にぶつかられた。二人目の子供の溜め息、三人目の舌打ちで、初めて彼らがスリだと気付いた。言うまでもなく最初の一人目の段階で所持金は全額失っていた。  通り過ぎざまに酔っ払いに尻を撫でられること二回。胸を触られること一回。王都ならば即座に警察に通報していたところだ。しかしこの街では──《蛮都》という二つ名ですら呼ばれる、法の影響が王国下で最も薄いこの街の治安機構はどれだけ信頼できるものか、と泣き寝入りするしかなかった。  この扉の向こうにいるのも、ある意味その一部ではある。都市行政の管轄下にあるニルイースト警察とは違い、王国直下の治安機構。  悪名高きその組織の有り様を、これから自分はその目で確かめることになる。それが仕事だ。  むん、とマリアーナは再び自分に気合いを入れた。さあ、行くか。行こう。  防火紋章の刻まれた木製の扉をノック。そして間髪入れず押し開ける! 「マリアーナ・ガンスロット会計監察官です! 国家財政院から、貴方達──東部ニルイースト常駐治安騎士団の監査に来ました!」  声の大きさ、張り、嚙まずに一息で言えた。完璧、と思いつつ中の様子に目を向ける。  雑然とした部屋だ。光の加減のせいか、イメージのせいか、どことなく空気が澱んでいるように思える。板張りの床、罅の入った硝子ガラス窓、壁際には埋め込み式の暖炉。天井には照明結晶のランプが据えつけられている。この地域としては一般的な作りだろう。  そこにいる人間は──いや、そこにいる者は、四人。細部は違うが、皆が黒い色合いの制服に似た衣装を身に着けていた。マリアーナは彼らの視線を受け止める。 「ん? 今日はデートの予定はなかったと思ったんだが……」  一人は、くたびれた革張りのソファに座り、咥え煙草を吹かしながら櫛で顎髭を整えていた男。帽子を目深に被ってほとんど顔を隠しているのに、そのお洒落に意