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作者:虎走かける,しずまよしのり
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-06(ASCII Media Works)
价格:¥590 原版
文库:电击文库
丛书:ゼロから始める魔法の書(8)
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ゼロから始める魔法の書VIII ―禁書館の司書― 1  魔女は悪魔の力を借りて、あらゆる災害を引き起こす。  泉の水を毒に変え、従順な家畜を血に狂わせ、畑を腐らす黒い雨を降らせるのだ。  では。  ではもし、魔女の力の源となる悪魔が、大量に召喚されたら。  悪魔が魔女の命令もなく、自由気ままに世界を歩き、欲望のままに過ごしたら。  飲み水は全て毒に変わるだろうか。  放牧の羊は羊飼いを喰らうだろうか。  降りしきる雨は田畑を腐らせ、幼子を飢えさせるだろうか。  今その答が、絶望で灰色に色褪せた世界に横たわっていた。 「総員警戒を怠るな! 盾を構え、仲間を守れ! 怯むな神の剣の担い手達よ! ──たかが鹿の群れだ! 領地での狩りを思い出せ!」  褐色の肌をした若い騎士が、両手にそれぞれ斧を構えて声を張り上げる。女の細腕と侮るなかれ、振り下ろす一撃は獣の頭蓋骨を粉砕し、続く二撃目で確実に首を刈る姿は、なるほど立派な戦力だ。  号令に従うのは、教会騎士団一万数千。  その長く伸びた隊列を襲うのは、飢えた草食動物達だ。  鹿の蹄は狼の爪へと変じ、その口からは人間の肉を食いちぎる鋭い牙が突き出している。 「人に狩られていた獣が、牙と爪をもって人を狩る──か。悪魔どもの戯れだろうが、趣味の悪い冗談だ」  魔女はゆるりと構えて状況を分析し、その傍らに立つ白い獣堕ちの傭兵は、 「この鹿は食えるのか……? 毒とかねぇだろうな」  と吞気なものだ。  たかが鹿の群れ──褐色の騎士が兵を鼓舞するために叫んだ言葉は、この魔女と傭兵の二人組にとっては紛れもない事実だ。  傭兵は素手をもって、襲いくる獣をあくび混じりに撃退し、魔女はその傭兵に戦闘を任せきり、負傷した兵を見つけては治療して回っている。 「お前の魔法一発で、どうにかできねぇのかよ、鹿くらい」 「教会騎士団をも巻き込んで一掃していいのなら」 「聞いた俺が悪かった。──っぶね!」  視界の外から飛んできた一本の矢が鼻先ギリギリを掠め飛んでいき、傭兵は声を上げてのけぞった。一直線に空を切った矢は、今まさに一人の騎士を襲わんとしていた鹿の眼球を貫き、それが倒れて初めて、襲われかけていたのが先の褐色の騎士だと分かる。  若き北部遠征部隊長──兵士に指示を飛ばす事に夢中になり、自分の背後がいささか疎かになっていたジェマだ。  傭兵は矢が飛んで