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作者:,こずみっく
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-23(小学馆)
价格:¥637 原版
文库:Gagaga文库

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妖姫のおとむらい 小学館eBooks〈立ち読み版〉 妖姫のおとむらい 希 イラスト こずみっく 目次 序章 第一話「風鈴ライチの音色」 第二話「焼き立て琥珀パンの匂い」 第三話「ツグミ貝の杯の触り心地」 第四話「ホロホロ肉の歯ごたえ」 序章  古本が、でたらめな高低差で部屋の畳に直接積まれている。  時代がかった六畳一間の貸し間で、よく見ればその大量の古本以外は家具調度に乏しい。  間借り人は万年金欠気味の男子学生、比良坂半。  彼がその懐事情の厳しさを押しきって卓袱台に並べたのが、バラエティに富んだ、というより統一性に欠ける山盛りの料理だ。  ニスの剥げかかった卓上には、鱧と里芋の汁物の椀がある。  アンディーブと貝のサラダの皿も置かれた。  ピラフと豚カツとスパゲッティを一緒くたに盛ったプレートも並んだ。  それらが所狭しとひしめいた。 「ほお。京料理に、フランス料理風のがあり、そちらのは確かどこかで、見聞きした。確か『トルコライス』とか」  積み上がった古本に雅びやかな物腰で腰掛けた笠縫が、小首を傾げる。  姿形は華奢な少女としか思われない彼女。  なのに、身にまとう気配は、優艶で、練れて、不思議に人間離れしていた。 「どれも美味しそうだこと。ずいぶんったものだわえ。こんなにもたくさん」 「もちろん俺ひとりの分じゃない。君の分もあるからだ」  普段は呑気で眠たげな面つきをしている半なのだが、今は何やら思い詰めた顔色だ。 「またぞろ、俺はここにいられなくなってきたっぽい。それを今から確かめる。まあ君も付き合ってくれ。そして俺に教えてほしい。この食い物が、どんな味してるのかってことを」  奇妙な言い草だが、半は真剣そのものといった顔で、いただきますと手を合わせた。  卓上の料理を、挑んでいくといった方が良さげな勢いで食べ始める。 「……ああ、またそういう頃合いに差しかかるのかや」  笠縫も何事か察した様子で半に頷き返す。  さっそくお相伴にあずかる彼女の箸遣いと礼儀は、場違いなほど水際立って優雅だった。  まず始めに鱧と里芋の汁物。  入念に骨引きした鱧を注意深く湯がいて葛湯に浸して、里芋の練り物とししとうと薬味を添えた温かなもの。  笠縫の口の中で、淡白でいて奥深い味の鱧の身と柔らかな芋が、丹念にとった出汁の春の