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作者:渡航(Speakeasy),Saitom
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-23(小学馆)
价格:¥615 原版
文库:Gagaga文库
丛书:どうでもいい 世界なんて(2)
代购:lumagic.taobao.com
どうでもいい 世界なんて2―クオリディア·コード― 小学館eBooks〈立ち読み版〉 どうでもいい 世界なんて 2 ─クオリディア・コード─ 渡航(Speakeasy) イラスト saitom 目次 1/そんな会議は終わってしまえ 2/背水と逆襲のバズマーケティング 3/いつか世界を魅了するために 4/戦争と幻想のファミリズム 5/そんな理想は壊してしまえ 6/いつか、家路につくために あとがき  ただその声を聞くために、この〈世界〉はあるんだと思った。  嘘ばかりの言葉の中に本音を見つけるために。  幼い悲鳴と寂しい嗚咽を聞き漏らさないために。  どんなに待ち焦がれてもかけられることのなかった声を忘れないために。  どんなに希ってもけして止むことのなかった泣き声に寄り添うために。  永い眠りに落ちるその間際、夢見の時に刻まれたのは、声だけだった。  瞳を閉じて、耳を澄ませて。  ──そんなに泣くなよ、大丈夫だよ。  届きはしないと、幼心に理解しつつも、そう呟いたのは誰に向けてだっただろうか。  あるいは、自他と彼我と母子と、誰しもに向けて言っていたのかもしれない。無明の闇の中で、ふと、頬を伝う温もりを今もまだ覚えているのだから。  やがて、壁越しに届いていた悲嘆にくれる嗚咽も安らかな寝息も途絶えて、世界は一度終わりを告げる。  音のない空間は死に絶えて、光のない時間は凍っていく。  それでも声を聞きたかった。  意味などなくてもいい。言葉の体などとらなくても構わなかった。それでも、そこにいるのだとわかりさえすれば温かかった。  そうやって、俺の〈世界〉は生まれたのだと思う。  その声があれば、他には何もいらない。  俺の世界は、俺と彼女だけの世界。  だから──。  どうでもいい 世界なんて。 1/そんな会議は終わってしまえ  朝になると、風が強く吹いていた。  轟々と逆巻いているのがあちらこちらから聞こえてきている。  昨日は、空も海も穏やかだったはずだ。  わざわざ記憶を手繰るまでもなく、この目に焼き付き、この耳にこびりついている。  長く豊かな黒髪を揺らす程度の微風だった。  ほんの一瞬ばかり立ったさざ波もすぐに消えてしまうほどに凪いだ海だった。 「──そっか……。じゃあ、しょうがないね」  そう言って、えへへと小さく笑う少女の声と