夜が来るまで待って2
小学館ｅＢｏｏｋｓ〈立ち読み版〉
夜が来るまで待って ２
小木君人
イラスト 梅原えみか
目次
序章
繁華街の怪人
月と黒猫
逃走追跡捕獲捕獲
宵の大捜査線
月は出ているか
猫は三日の恩を一生忘れない
ウォーキングの勧め
「距離だ！ 東森、近づけッ！」
「距離だ！ 離れろ、黒羽クロウッ！」
槇村伽夜と夜獣・奈闇が同時に叫ぶ。
東森鷹兎は、伽夜の言葉を聞いた瞬間、自分の能力の片鱗を理解した。
（標的との距離が離れすぎると、攻撃力が極端に下がるんだ……！）
走る。
走る。
彼女の言うとおり。
敵に近づくために。
夜獣・黒羽は逃げる。
巨大な翼を必死に羽ばたかせて。
そびえ立つ柱の陰に逃げ込もうとする。
だがそれは無理だった。
伽夜の能力によって作り出されたシールドが、黒羽の行く手をさえぎる。
「ぐああああアアアアアアアアアアアア！」
ドムッ！
響く絶叫。激しい衝突。
鷹兎はショットガンに変化したおのれの影子・ハルハを構え、狙いを定めた。
ガォゥン！
うなりを上げて飛び出した弾丸が、シールドに跳ね返された黒羽を後ろの柱ごと貫く。
そしてさらに、
ジャコッ、ガォゥン！ ジャコッ、ガォゥン！ ジャコッ、ガォゥン！
ズブッ、ズブッ、ズブッ。
弾丸は黒羽の体に無数の穴を開けていった。
黒羽は、
ジャコッ、ガォゥン！
大量の血を、
ジャコッ、ガォゥン！
まき散らしながら、
ジャコッ、ガォゥン！
落下した。
ジャコッ、ガォゥン！
やがて、
ジャコッ、ガォゥン！
風穴だらけの体が、
ジャコッ、ガォゥン！
グシャッと、
地面に墜落した。
そのまま、ピクリとも動かなかった。
こうして鷹兎は、初めての夜獣との戦いに勝利した。
二週間ほど前のことだ。
１
とあるデパートの四階・衣料品売り場にて。
フィッティングルームのカーテンが勢いよく開き、夏を先取りしたような小麦色の肌の少女・ハルハが、元気いっぱいに中から身を乗り出してきた。
「タカト、このお洋服、どうッ？」
ハルハはくるりと一回転する。ワンピースのスカートが舞い上がる。
「う、うん……いいと思うよ」
鷹兎は第一印象を述べ
