后退 返回首页
作者:ゆうきりん
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-13(ASCII Media Works)
价格:¥590 原版
文库:电击文库
丛书:魔王なあの娘と村人A(10)
代购:lumagic.taobao.com
魔王なあの娘と村人A(10) ~Go West!魔王さまさま!!~      1 「……佐東君、進路はどうするの?」  旧校舎の三階の隅にある進路指導室で、デッカー先生が俺にそう切り出したのは、修学旅行の話が一通り済んだ後だった。  思ってもみなかった話題に、俺は、 「え?」  と、間抜けな声を出してしまった。  もう、と呆れた顔をしてデッカー先生は前屈みになる。そうすると凶悪的に大きな胸が余計に強調されて、思春期の男子には、はっきり言って目の毒だし、やり場にも困る。 「あのね。具体的に学校や会社を決めなさいとは言わないけど、進学か就職かくらいは、そろそろはっきりさせておいたほうが、先生、いいと思うのよね」  低いテーブルの上で指を組むようにして、デッカー先生は首を傾げる。 「進路希望調査票をまだ出していないのって、佐東君くらいよ」  俺は、はあ、と曖昧な返事をすることしかできなかった。  そうなのか。  確かに夏休みの宿題と共に提出することになってはいたが、まだ大丈夫だろうと高を括っていた。というか、忘れていた。  俺が最後ってことは、個性者である竜ヶ峯たちは別として、木村や斉藤も、もう希望を出したってことか。  友達がいのないやつらだ。相談とかされてないぞ。  …………。  ……まあ、俺もしてないけど。  しかし、いま、進路の話をされるとは思わなかった。  今日はただ、もうすぐ行われる修学旅行において、クラス委員長としての心構えというか、学校側の要望を聞くためにここへ来たつもりであったんだが。  委員長としての心構えってのは、つまるところ、クラスの個性者についてのことだから、副委員長であり、個性者でもある竜ヶ峯は一緒には来ていない。  デッカー先生に呼び出されたことを伝えると、 「じゃあ、わたしも一緒に行きます。だって、副委員長ですから」  そう言って、当たり前のようについてこようとしたけどな。  なんとかなだめて、ひとりで来た。  あの大山鳴動して鼠が一匹ちょろっと出たような生徒会長選挙のあと、竜ヶ峯はクラス副委員長を引き受けてくれたんだが、ちょっと問題が起こった。 「だって、副委員長ですから」  そう言って、俺の行くところ、どこにでもついてこようとするようになったのだ。 「副委員長は、委員長を補佐するのが仕事ですから。さ──村人Aさんのことを、全力でサポートしなければ!」