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作者:羽谷ユウスケ,Azusa
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-12-22(小学馆)
价格:¥637 原版
文库:Gagaga文库
丛书:探し屋 クロニクル(1)
代购:lumagic.taobao.com
“探し屋”クロニクル 7-7のイチロと星喰いゾンビーズ 探し屋クロニクル 小学館eBooks〈立ち読み版〉 〝探し屋〟クロニクル 7/7のイチロと星喰いゾンビーズ 羽谷ユウスケ イラスト Azusa 目次 序章 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 終章 あとがき     序章  少女は金網を乗り越え、奈落の淵に足をかけた。上履きは金網の向こうに置いてきた。裸足で踏みしめるコンクリートは、煙るような霧雨のせいでひどく冷たかった。  不思議と恐怖は感じなかった。頭も身体も、すでにこの先にある死の運命を受け入れていた。いまさらなにをしようとも、ここまで来て最後に結ばれる運命の一片を拒否することなどできはしない。こうしてここまで、この場所まで辿り着いてしまったのだから。  少女は目を閉じ、自らの中の光を思った。真っ暗な海に漂うそのいくつもの光は、まるで星のようだった。自らの中に吸収され、個を失いながらも、光は今も温もりと息吹を持ち、少女の中に優しく溶け合っていた。  少女は震える手で制服の胸元をぎゅっと握りしめた。  間違ってはいない、少女は思った。世界が私を生んだことは、間違いではないのだ。もしそうであるなら、どうして私は生まれてきたのか? どうして私はこのような存在にならなければならなかったのか?  そうだ。ただ──ただ、力がなかっただけだ。生きるための力が。私を滅ぼそうとする力に抗うだけの力が。世界に認められるだけの力が。ただそれだけだった、それがすべてだった。  だから──ここでおしまいなんだ。  涙が一筋、その目から零れ落ちた。少女は苦笑し、躊躇うことなく飛び降りた。  奈落の底で花になることを、少女は願った。花になり、実を落とし、種をばら撒く。雨から潤いを得て、陽光から温もりを得て、ときを待ち、やがて花を咲かせる。そうすることですべての星は繫がっていく。深く暗い海の底で、人は誰しも一人ではない。  だから、だから。自分も一人ではないのだ──。そう思いたかった。ただそれだけだった。  それから幾度もの夜が過ぎ、いくつもの雨が流れた。  気が遠くなるほどの歳月を経て、喪われた少女の姿は人々の記憶から失われていった。まるで、この世界に彼女など最初から存在していなかったかのように──。  ──そして。  真っ黒な水面からゆっくりと浮かび上がるかのように、少女の影は再びこの世界に現れた