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作者:和ヶ原聡司
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-12-09(ASCII Media Works)
价格:¥650 原版
文库:电击文库

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ディエゴの巨神    第一章 ディエゴとアルバロ  海鳥の声が十重二十重に響く抜けるような晴天に、港町カルディスは照らされていた。  スピネイア王国屈指の賑やかな港町の喧騒。  そこから顔を背けているかのような薄暗い裏通りの長屋に、無遠慮なノックの音が響いた。 「おい、ディエゴ! ディエゴ!」  空気のこもった室内で、先日知り合いから格安で譲ってもらった南の大陸の葦の紙パピルスに書き物をしていた青年は、自分の名をやかましく呼ぶ声に顔を顰めた。 「お、ディエゴいるな!? この匂いはそろそろ昼飯の時間か!?」  居留守を使おうかとも思ったが、竈の鍋に火をかけていてはそういう訳にもいかなかった。 「なんの用だ、アルバロ」  ディエゴは、仕方なく小さな我が家の玄関を開け、やってきた友人に応える。 「おうおう、その顔は研究を良いところで邪魔されたときの顔だな!?」 「分かってるなら用件を早く」  アルバロは一度来たら、なんだかんだと長居をするのでディエゴはわざとぶっきらぼうに急き立てる。 「まぁまぁ落ち着け! 今日の用件は普段とは比べ物にならないほどに重大だ。まずはお前を連れ出して飯でも食いに行こうと思うんだが」 「昨日のシチューの残りで良けりゃ食わせてやる。今日は外に出る気は無い」  陽気なアルバロの誘いを、ディエゴは軽く一蹴する。 「苦しい決断だが、やはり外に食いに行くことを提案したい」  普段のアルバロなら、ここで調子良く飛びついてくるところだ。 「なぁ、半刻でいいから表歩こうぜ。お前の料理の腕はまた別の機会に審査するから」 「珍しいことを言うなアルバロ。なんなら燕麦パンもつけるが?」 「目の前の燕麦パンにかぶりついて、未来の小麦のケーキを逃すつもりはねぇ!」  パンで釣っても動じないとなると、これはいよいよ重症だ。 「仕方ないな。牡蠣殻亭なら出向いてやる」  ディエゴが馴染みの店の名を挙げて譲歩すると、アルバロはパッと顔を輝かせる。 「そうこなくちゃ! 俺も牡蠣殻亭がいいと思っていたんだ!」  牡蠣殻亭は、東は果ての大帝国から、南は砂と炎の大陸、北は海賊王の氷壁を擁する国に至るまで、様々な土地の食材を買いつける。  そしてそれらを全て混ぜて、なんとなくスピネイア風にしてしまう無国籍な料理を出す店として、カルディスに集まる船乗りの間に