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作者:三雲岳斗
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-06(ASCII Media Works)
价格:¥650 原版
文库:电击文库
丛书:ストライク·ザ·ブラッド(16)
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ストライク·ザ·ブラッド16 陽炎の聖騎士           1  廃工場を模した古い建物には、潮風の臭いが澱んでいた。  割れた天窓から射しこむ午後の光が、漂う土埃を白く照らしている。  薄暗い通路。錆びた鉄製の柱の陰。ひび割れたコンクリートの床に屈みこみ、小柄な影が周囲の様子を窺っている。悪戯っぽい子猫を思わせる、大きな瞳が印象的な少女だ。  彼女が身に着けているのは、露出度高めの活動的なスポーツウェア。金属製の手甲に覆われた手袋グローブと、爪先部分を装甲で覆ったハイカットのシューズが妙に目立つ。そして頭に生えているのは、尖った獣の耳である。  闇の奥を見通すように、少女の虹彩が大きく広がった。ふわりとした栗色の癖毛を揺らして、彼女の耳がピクリと震える。建物の壁の向こう側に潜む、異物の存在を知覚したのだ。 「目標を捕捉したよ。隣の広間で待ち伏せしてるみたい。ルイルイ、わかる?」  首にかけた通信機のマイクに向かって、獣の耳の少女が囁いた。  彼女の言葉にうなずいたのは、廃工場の外に待機していた少年だ。優等生然とした顔立ちに、穏やかな雰囲気を漂わせた彼は、構えた狙撃銃の光学照準器スコープをのぞきこんでいる。 「こっちでも捕捉したよ。あれは、真賀斎先生の一四式装甲式神だ。二足歩行で最大装甲厚は九十ミリ。どうする、班長? かなり手強いよ」 「──優乃さん、周囲にほかの敵影は?」  彼らの交信を聞いていた第三の人影が、獣耳の少女に問いかける。  金属製の肩当てのついたコートを羽織り、コバルトブルーの頭巾ウインプルを被った白髪の少女。その名を香菅谷雫梨・カスティエラという。南欧の小国から派遣されてきた交換留学生──対魔族戦闘の専門家たる修女騎士パラデイネスの候補生だ。 「んー、いないみたいかな。少なくとも活動中の連中はね」  柱の陰からそっと身を乗り出して、獣耳の少女が周囲を確認した。L種──いわゆる獣人族である天瀬優乃の視覚や聴覚は、常人の何十倍も鋭敏だ。  そんな優乃の報告に、雫梨は満足げな微笑を浮かべる。 「よベしネ。では、目標に気づかれる前に奇襲をかけますわ。優乃さんは目標の攪乱を。琉威さんには、援護をお願いしますの。わたくしは接近して直接打撃を担当いたします」 「りょーかーい」  八重歯をちらりとのぞかせて、優乃が攻撃的に微笑んだ。キュッと小気味よい音を立て、手袋グロ