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作者:羽場楽人,笹森トモエ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-06(ASCII Media Works)
价格:¥610 原版
文库:电击文库

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わたしの魔術コンサルタント  今にも雪が降り出しそうな寒々しい夕暮れ時だった。  排ガスですっかり汚れた灰色の雲が重たく頭上をおおう。ひさしく太陽の光を浴びておらず、ただでさえ寒いのが苦手なおれは気が滅入る一方だった。  風がないのがせめてもの救いである。  すっかり冷えた体をはやく温めるべく、両手にくいこむ買い物袋の重さをこらえて事務所への帰路を急ぐ。  本日は我が黒瀬魔術コンサルタント、月に一度の豪華ディナーだった。  経理担当のリクエストにより今晩はスキヤキ。  買い出しのじゃんけんに負けたおれはスポンサー特権で回避しようとしたが「肉を買うまで帰ってくるな」と事務所を追い出され、現在にいたる。  いつも人でにぎわう駅にさしかかると、帰宅時間の駅前広場に妙な人だかりができていた。  野次馬根性のないおれはさっさと通り抜けたいところだが、信号待ちの人ごみと荷物の多さで足止めをくらう。  仕方なく信号が青になるのを待つ。  ゆるくなった首元の黄色いマフラーを直したかったが、両手が塞がっているため難しい。帽子のつばもいつの間にか目元を隠すようにずれていた。  なにもできない時間の中で視線は自然と駅前広場の人だかりへ流されていく。駅前を飾るクリスマスツリー目当てのにぎわいではない。  どうも喧嘩らしい。  騒いでいる声の高さから片方は女の子だろう。  ニット帽にマフラー、手袋と上から下まで完璧な防寒スタイル。山から下りてきたみたいに外見より実用性を重視した装いである。背中にはリュックサック。大きなトランクがあることから新幹線で上京してきたばかりか。もっさりミノムシと名づけよう。  かたや二十歳くらいの瘦せ型でヘラヘラした表情を浮かべた男。  ファッション雑誌からそのまま引き写したような、街中にあふれかえるシンプルで小綺麗な服装。細身で背が高いため、一見すれば様になっているが自己主張は絶無。派手な色使いや目立つ柄を徹底的に排し、高いブランド品だと一目でわかるアイテムは身につけていない。まるで群衆に迷彩する密命でも帯びているように特徴がないのが特徴といったところだ。匿名28号。 「なにがあった?」  おれは自分の前にいた中年サラリーマンに訊ねた。 「あの若い兄ちゃんが、ほら、あそこにいる女子高生をしつこくナンパしていたらしくてね。近くで見ていた女の子が怒って、横か