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作者:割内タリサ,鵜飼沙樹
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-25(overlap)
价格:¥720 原版
文库:overlap文库
丛书:異世界迷宮の最深部を目指そう(8)
代购:lumagic.taobao.com
異世界迷宮の最深部を目指そう 8 目次 1.パリンクロン・レガシィ 2.四十層の守護者 3.千年前の負債 4.パリンクロン・レガシィとの戦い 5.二十層の闇に少年は溶けてしまった。けれど、貴方が光を射しに来てくれた 6.終章 7.セーブポイント『迷宮の孤島』 イラスト/鵜飼沙樹 1.パリンクロン・レガシィ  開拓地の連合国で『本土』と呼ばれるヴァレンシズ大陸。  その地を北と南に分ける境界線というものがある。その線上では『境界戦争』という茶番劇が、長く続いている。大陸を支配する二つの連盟が軍人たちを境界線まで引き連れて、適度に殺し合いをさせては適度な損益を動かしているのだ。  正直、その裏にある権力闘争や利益に興味はない。ないからこそ、こうして俺は立派な軍服を身につけ、将軍なんて大層な称号を得て、何千もの兵を動かせるようになり、『境界戦争』の最前線にある砦の外壁の上を歩けているわけだ。  靴の踵で石床を鳴らし、晴れ上がった空の下を歩く。  北に目を向けて目を凝らすと、地平線あたりで撤退していく『北連盟』の大軍隊が見える。そして、いま歩いている外壁の下では『南連盟』の兵たちが戦術的勝利に大喝采をあげている。  その二つを微笑で数秒だけ見守り、すぐに背を向ける。  いま俺が歩いている砦の外壁は三角状となっている。俺は喧騒から逃げるように、頂点に当たる位置から底辺に向かって歩いていく。  涼しい風が流れる中、こんなに高いところを歩くのは気分がいいものだ。なにより、こんなにも自分の計画が順調に進んでいるのが心地よい。もちろん、その順調というのは先の『北連盟』と『南連盟』の小競り合いを勝利に導いたことではない。もっと個人的で私利私欲の計画のことだ。  俺は僅かな罪悪感と共に、歩きながら自分の装いを確認し直す。 「ははっ、かっこいい服だな……。ほんと似合わねえ……」  厳格という言葉を体現したかのような窮屈な服だ。自分の士官用の服は素材が贅沢で、魔石を溶かした糸まで用いられている。若者たちの心をくすぐるデザインの上、肩には階級章の飾りが光り輝いている。本当に立派なものだ。立派過ぎて、小心者の俺は常に気恥ずかしくて堪らない。 「とうとう、これを着ちまったな……」  いつかは着るだろうと思ってはいた。なにせ、俺の生まれたレガシィ家は貴族の中でも上位に含まれ、数多くの名軍人