カンピオーネ! XIX 魔王内戦
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Contents
第1章 Prelude of Civil War
第2章 七戦士、一堂に会す
第3章 零時到来
第4章 深まる混沌
第5章 吉凶に賭けよ
ダッシュエックス文庫DIGITAL
カンピオーネ!
魔王内戦
丈月 城
Introduction
これまでのあらすじ
神を殺し、その権能を簒奪した者をカンピオーネという。
高校生の草薙護堂はカンピオーネとなって以来、自称・愛人のエリカや媛巫女・祐理たちと共に、世界各国のカンピオーネやまつろわぬ神と数々の激戦を繰り広げてきた…。
戦いの中で護堂たちは、神々が称える『最後の王』の存在を知る。
「神殺しを殺す」という『最後の王』の封印が解かれるのを阻止すべく奔走する一行だったが、努力も虚しく『最後の王』は四英雄の手によって復活してしまう。
その圧倒的な力の前に退却を余儀なくされた護堂だったが、唯一の切り札である『最後の王』の真の名「ラーマ」を突き止め、死闘の末に辛勝する。しかし、カンピオーネが現存する限り「ラーマ」は何度でも甦り、カンピオーネの数だけ強くなるという――。
カンピオーネたちが「ラーマ」に対抗し得る手段は、同士討ちを行い、生き残った最後の一人が「ラーマ」と戦うというものだった…。
第1章 Prelude of Civil War
1
二月といえども、ロサンゼルスはそこそこあたたかい。
冬の寒さが厳しい土地ではないのだ。温暖な海辺の大都市。だが、治安がいいとは言いきれない地域も存在する。
夜、女性がひとりで歩くにはとても不向きな界隈なども。
そして今、アニー・チャールトンはそうしたダウンタウンを夜歩きしていた。観光地でもある日本人街リトル・トーキョーにも程近い辺りだ。
「……決して居心地のいい場所じゃないのは、たしかみたいね」
ぼそりとアニーはつぶやいた。
深夜零時を過ぎているので、人通りはすくない。が、ときどき通行人とすれちがう。それもあまり柄のよくなさそうな。ストリートギャングやホームレスなど珍しくもない界隈なので、まあ当然であった。
こんなところを女ひとりで深夜に出歩く――。
夜の商売の関係者か、よほどの遊び人くらいだろう。
だが、かちっとしたスーツ姿のアニーはどち