無双竜撃の継承者〈スレイヤー〉
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CONTENTS
序 章 敵対する者達
第一章 竜伐者という存在
第二章 竜少女の目的
第三章 宝珠を求めて
第四章 導かれし場所で
最終章 想い、ただそれだけで。
ダッシュエックス文庫DIGITAL
無双竜撃の継承者〈スレイヤー〉
空埜一樹
序章 敵対する者達
村が燃えていた。
絶え間なく破壊が続き、全てを震撼させるかのような轟音が鳴り響く。
少年が暮らしてきた小さな世界は禍々しい紅蓮に支配され、かつて静寂であった場は、むごたらしいまでに蹂躙されていた。
不意に、なにかが裂ける音と共に、木々が次々と倒れていく。
闇の奥から次々と、異形どもが現れ始めた。
生え揃った鱗。長々と伸びた尾。巨大な体。強靭な顎。殺戮の本能に満ちた眼。
あらゆるものを憎み、喰らい、亡き者とする存在。
――【竜】と、呼ばれる者達が。
「……あ……ああ……」
圧倒的なまでの畏怖を目の当たりにして、少年はあまりに無力だった。ただただ怯える他に術を持っていなかった。
震える膝は瞬く間に力を失い、無様に地面へとつく。
その時、涙で滲む視界に、巨大な影が差した。
仰いだ先にいた竜が、少年を見下ろしている。
声すら出なかった。喉の奥がひりつくように痛んだ。
突如として、竜が、猛々しく吼えた。
少年の体が竦み、硬直する。
もうダメだ。このまま食べられてしまうのだ。絶望に暮れ、何もかもを諦めた。
そうするうち、竜の顎が、ゆっくりと開いていき――。
再度の咆哮が、何処までも遠く響いた。だがそれは威嚇の意味を孕んだものではない。
断末魔の叫びだった。
竜の体から、剣の切っ先が突き出ている。
やがて、鈍い音と共に竜は地に倒れ、微動だにしなくなった。
突然の事態に思考が追いつかず、呆然としている少年の目の前に、誰かが近づいてくる。
巨大な剣を持った男だった。吹き荒ぶ風に身に纏ったマントがなびき、まるで翼であるかのように膨らんでいく。
――一体誰なのか。
少年は声を掛けようとしたが、叶わなかった。
男が前を向き、地を蹴ったからだ。同時に目にも止まらぬ速度で駆け抜けると、彼は二匹目の竜を、いとも容易く切り裂いた。
更に返す刀でもう一匹を仕留めると、跳