友達いらない同盟
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口絵・本文イラスト/天三月
デザイン/AFTERGLOW
序章
とも─だち【友達】この相手にならば殺されても仕方ない、許せると思える間柄の人間。友人。
友達の定義についての話。
中学生の頃、同級生の不思議ちゃんが脈絡もなく「友達って何かなあ?」といったことを口にした。六人で机を囲んでいて、俺もその輪の中に入っていた。
なぜ周りから嫌われていた俺が輪に入っているのかというと、授業だからである。確かこれは文化祭の話し合いの席でのことだったはずだ。
「ねえ、友達ってなんだと思う?」不思議ちゃんがもう一度言う。それからこの場にいる一人を見る。「鈴木さんはどう思う?」
話を振られた鈴木さんは、教科書通りともいえる当たり障りのない返答をした。一緒に遊んだり、云々。仲良く話したり、云々。
不思議ちゃんは他のグループメンバーにも友達の定義を問うていく。
そこで俺も友達の定義について考えてみた。
俺にとっての友達とは何か?
するとすぐに答えは出た。
──こいつになら、まあ、殺されても仕方ない。そう思える相手。
よし。今日から俺は、友達という存在をそこに持っていこう。
不思議ちゃんは五人のグループメンバーに友達の定義について訊き終えた。そして残すところ俺だけとなった。
俺は今考えた定義を話すつもりはなかった。変な奴だと思われるのも嫌だったし、何より説明するのが面倒だったからである。そのため、俺も当たり障りのない返事を用意していた。
しかし不思議ちゃんは、俺にだけ訊かなかった。
そうだった。
俺は嫌われていたのだった。
死ぬべきは誰だ。
一章
☆
「新藤も入って」
新藤は俺だ。
今、俺の前にはクラス委員長が立っていた。名前は桐山。目つきの鋭い普通の女子生徒である。
桐山は座っている俺を見下ろしていた。自然、俺は見上げる。場所は教室だ。
ちなみに桐山が俺に入ってと言っているのは、SNSだかメッセージアプリだかのグループ連絡網のことだった。クラスの連絡網があるらしく、それに俺を入れようとしているのだ。
俺は、手に持っていた本をぱたりと閉じる。
「俺、そういうのいいんだ」
「は?」
桐山は顔をしかめた。
「メッセージ