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作者:深沢美潮,迎夏生
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-02-10(ASCII Media Works)
价格:¥570 原版
文库:电击文库
丛书:新フォーチュン·クエストII(8)
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新フォーチュン·クエストII(8) 月の光とセオドーラ いまでないとき。 ここでない場所。 この物語は、ひとつのパラレルワールドを舞台にしている。 そのファンタジーゾーンでは、アドベンチャラーたちが、 それぞれに生き、さまざまな冒険談を生み出している。 あるパーティは、不幸な姫君を助けるため、邪悪な竜を倒しにでかけた。 あるパーティは、海に眠った財宝をさがしに船に乗りこんだ。 あるパーティは、神の称号をえようと神の出した難問にいどんだ。 わたしはこれから、そのひとつのパーティの話をしたいと思っている。 彼らの目的は……まだ、ない。  STAGE 1        1 「おぉ! 見えてきた!」  甲板の柵に手をかけ立っていたクレイが指差す。  ベンチに腰かけていたわたしたちも弾かれたように立ち上がり、柵へと駆け寄る。 「おぉー、ほんとだ。久しぶりですねぇ」  キットンの顔に海風が吹きつけ、ふだんは隠れている丸い目も額のキノコ模様も見えた。  今日はぴっかぴかのいいお天気。  青空の下、マディ海峡も濃い青色。白い波頭を見せている。  クレイが指差した先にはなつかしいコーベニアがあった。岸壁の続く港、白い帆の船。そして、高台へと連なる家々と空を舞う海鳥たち。  わたしたちが住むパントリア大陸とコーベニアのあるセラファム大陸の間にある海はアビス海と言う。ドミニッシュ海流という暖流が流れこんでいるため、冬でもけっこう暖かい。  久しぶりだなー!  この前、ここに来たのはキットンの奥さん、スグリに会いに来た時だよね。彼女が住んでいるペルメナもこのセラファム大陸にある。  そう! キットンはエルフたちに会った後、スグリに会うため、ペルメナに寄りたいと言っていた。  もちろんわたしたちも大賛成。スグリ、喜ぶだろうなぁ!!  ふたりは手紙のやりとりをしているんだけど、実際に会うのとはぜんぜん違うもの。  もしかしたら、キットン……そのままスグリと残るなんて言い出さないかな。なんて、ちらっと思ったりした。  海風に髪をなぶられながら、キットンはわたしのほうを向いた。 「どうしたんですか? パステル。何か心配事でも?」 「あ、あぁ……いやぁ、ほら、キットン、エルフたちに会えたら、あとでスグリに会いに行くって言ってたじゃない?」 「ええ、そうですね。一刻も早く会いたいです」  ひゃー