后退 返回首页
作者:岬かつみ,Mmu
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-12-20(富士见书房)
价格:¥620 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:セブンキャストのひきこもり魔術王(3)
代购:lumagic.taobao.com
セブンキャストのひきこもり魔術王 3 セブンキャストのひきこもり魔術王3 岬かつみ 富士見ファンタジア文庫 本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 とおりすがり漂流者 第一章 四魔王フオーテリブル 第二章 七つの魔法 第三章 魔法使いアルテイマグス 第四章 敵は七詠唱セブンキヤスト 第五章 幼き姉弟のための七秒リバース・セブンカウント 終章 続とおりすがり時間漂流者  あとがき    序章 とおりすがり漂流者  ワインボトルの中には、美しい妖精が住んでいる。  新しいワインには未熟な乙女の妖精が。  そして古いワインには成熟した貴婦人の妖精が。  瓶詰の妖精たちは、ワインのコルクが抜かれる日を心待ちにしている。瓶の外へと出ることが叶えば、ラベルに記された自分の名を知ることが出来るから。その日のためだけに彼女たちはセラーで横になって、数年、数十年、あるいはもっと長い眠りにつく。  だから、一度でもコルクが抜かれたワインが、気が抜けてとても飲めたものではなくなってしまうのは、瓶の中から妖精がいなくなってしまったせいだ。 「彼女の名前は『ラ・プルミエ・エリクシール』。己の名を知った妖精がこの場に留まっているうちに、どうぞ召し上がれ」  ──仮面舞踏会マスカレイドの夜、そんなキザな台詞とともに、青年は少女へとワイングラスを差し出した。 「伯爵カウント。キミの達者な口ぶりに比べれば、確かにワインは嫌いな味ではないね……」  グラスに注がれた葡萄酒は、少女の髪と瞳の色と同じ、目も覚めるような真紅。その中身をひと口含んで、少女──アンジェラ・アンブロシアは長い赤毛をかきあげた。  その端正な美貌の上半分を、緋色の瞳だけを残してドミノマスクに隠し、アンジェは今、パリのとある宮殿で貴族たちの社交場に姿を現していた。  目的はひとつ。目の前にいる、伯爵カウントと呼ばれている青年に会うためだ。 「ありがとう、アンブロシア。しかし出来れば、素直に美味しいと言って欲しかったがね。なにせ、きみがこの味を好むことを、僕はよく知っているのだから」  やや不貞腐れた顔つきで感想を口にしたアンジェに対し、青年は大仰に肩をすくめてみせた。