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作者:佐々山プラス,霜月えいと
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-02-10(ASCII Media Works)
价格:¥659 原版
文库:电击文库

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ぼくらはみんなアブノーマル  ──この世界がコンピュータ・シミュレーションである可能性は、ゼロでは無い──  俺がまだ小学生だった頃、担任の先生がたびたびそんなことを言っていた。  この世はどこかの誰かが作ったコンピュータ・プログラムで、目に映るものも肌に触れるものも、ゼロとイチの集合体でしかない。その可能性を、我々人類は否定することができない。そう語る先生の熱に浮かされたような表情を、俺は今でもよく覚えている。  だがその話に興味を持ったかどうかといえば、答えはNOだ。宗教心の無かった俺にとっては、この世を作ったのが神様だろうと、脂ぎったオッサンだろうと、さしたる違いは無いように思えたのである。  この世がプログラム? ゲームの世界みたいに? ああそう。はいはい。結構じゃないか。  会社勤めのプログラマーが納期に追われて命からがら作った世界にしては中々の出来栄えだ。剣と魔法の大冒険が始まるわけでも、今夜の宿題がなくなるわけでも無い。圧倒的なリアリティー。完璧に普通。ただの〝現実世界〟。俺たちにとっては。  この世界を誰がどうやって作ったかなんて、そんなの重要な問題だろうか? 神様じゃ無かったとして、何の問題があるのだろうか? 当時の俺はそんな風に思っていた。  結論をいえば、それはあまりにも大きな問題だった。  この世を作ったのは、全知全能の神では無かったのだ。  誤ちという言葉を辞書に持たない、完全無欠で完璧な創造主では無かったのだ。  そして俺は困っていた。今まさに、困っていた。この世界の、完璧じゃ無いところのせいで。  この世界を作ったヤツが犯した、恐らくは単純なミスのせいで。  ──パコン。  後頭部に感じる、軽い衝撃。同時に、いつの間にか青一色に染まっていた俺の視界が隅から順に景色を取り戻し始める。机が、筆箱が、問題用紙が、俺の目前に現れる。  そして鼓膜を揺らす、教室のざわめき。紙を搔くシャープペンシルの音。擦れる消しゴムの音。コチコチという時計の音。誰かの貧乏揺すりの振動。肌を撫でる風の感触。古い木造の、校舎の匂い。  俺は強く二、三度瞬きしてから、はぁーと長く、溜息を吐いた。  ──ああクソ、またやっちまった。 「いつまで時間を浪費すれば気が済むんだ、この愚か者」  頭上に降ってきた、苛立ち混じりの若い女教師の声。顔を上げれば、キッチリとア