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作者:御影瑛路
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-12-09(ASCII Media Works)
价格:¥630 原版
文库:电击文库

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僕らはどこにも開かない -There are no facts, only interpretations.-    柊耕太の閉じた世界 [Ⅰ] 「あなたはあたしが魔法で護ってあげるよ」  高校生活にも慣れつつあった5月18日、その言葉から僕の世界は変わった。  そろそろ買い換えろってくらい古い下駄箱は、何カ所もガムテープで不細工に補修されている。この一ヶ月少しですっかり慣れたカビ臭さを感じながら、ローファーを持った手を空中で静止させた。 「え、と──?」  端整な顔立ちをした女の子は、セーラー服のリボンの色が赤いことから同じ一年生だと分かるが、話したことのない人だった。栗色の髪を、後頭部の高いところに赤いゴムで結っているが、ポニーテールと言うには少し長さが足りない印象だ。タレントのように顔が小さくて、瞳が大きく、肌が透き通るように白い。みんなに普通だと言われ、インパクトの薄い僕の容姿とは対照的に、校舎内で見かけたら誰もが振り返るほどの恵まれた容姿だろう。間違いなくこれまで、僕の人生で縁がなかった華やかなタイプの人間だ。 「って、いきなり護るとか言われても困るよね!」  彼女は苦笑して、初対面であるはずの僕の肩を馴れ馴れしく叩く。その距離感でも、この容姿と態度ならば、多くの人が不快にならないことを理解しているのだろう。 「でもね、ほっとけないの。だって、あなたにはまるでないから」  真剣な顔になり、言う。 「魔法耐性が」  そんな耳慣れない単語を。  これほど滅茶苦茶なことを言われたときに、どういう反応をするべきかを15年の人生で学んでいない僕は、ただただ呆然とするしかない。  それでなくても僕は人見知りだ。いや、友人の雅人に言わせれば、人見知りとは違うらしいが、初対面の相手にどんな対応をすればいいのかが分からないのは事実だ。とにかく、まだ頭の中がもやもやしていて、適切な言葉を思い付かない。  彼女はそんな僕に、「やっぱ魔法耐性がないことに無自覚なんだ」などと呟いて、一人で納得している。  この不思議な言動で、ようやく目の前の人物の名前が思い当たった。 「もしかして、香月美紀さん?」 「うん。そうだよ!」  香月さんは僕が名前を知っていることに、特に疑問を抱いていなかった。  当然かもしれない。彼女は有名人だ。  これだけのルックスだ。多くの美少女と同じように、彼女は入学してすぐに男子生徒のみならず、全校生徒の注目を浴びた。でも、彼女と