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作者:小林三六九,和武はざの
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-02-10(ASCII Media Works)
价格:¥590 原版
文库:电击文库

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《ハローワーク·ギルド》へようこそ!      第一章  転職ナイト           0  雲一つない青空のもと、遠征に出ていた騎馬隊の列が王都に帰還を果たした。  隊列の最後尾を行く《騎士》の少女は、久しぶりの街の空気を胸いっぱいに吸い込む。賑やかな通りを爽やかな風が吹き抜け、真紅の髪が肩の上でさらさらと揺れた。  屈強な戦士が揃う中、彼女は一回り以上小柄で線も細い。しかし、鎧をまとって馬にまたがる姿は凜として堂々たるもの。若くして騎士の風格が備わっている。  今回の遠征で一番の成果を上げたのも彼女だった。もっとも、敵は低級モンスターばかりでまるで歯ごたえがなかったが。  近年はモンスターの脅威も激減している。三百年前の戦争で魔王率いるガーランド帝国を打倒して以降、複数の国家が連立するこのシルフィア大陸では、大きな軍事衝突もなく平穏な時代が続いている。  戦争の二文字がおとぎ話のように聞こえる今日日、騎士のような戦士系職の役割も様変わりした。周辺地域への討伐遠征は月に一度、安全確認程度で十分。普段は街の治安維持活動に従事している。モンスターよりも人間を相手にすることのほうが多いわけだ。時代の変化に伴う皮肉な現実である。  カランコロン……カランコロン……。  教会の前を通りかかったとき、鐘の音が鳴り響いた。白いハトの群れが飛び立つ。  結婚式が執り行われているようだ。厳かな扉が左右に開き、新郎新婦が姿を現す。招待客が拍手と花吹雪で祝福し、騎馬隊の面々も口笛を飛ばす。  純白のウェディングドレスに身を包んだ美しい花嫁の姿に、少女は、思わず見惚れた。  その横顔は、凜々しい騎士ではなく、夢見る乙女のようだった。           1  ハローワーク・ギルドの施設は、創設者である元貴族の屋敷を改装したものだ。赤レンガ式の横長の屋敷で、中央の扉を抜けるとメインロビーが広がる。吹き抜けの天井には年代物のシャンデリア。カウンターの奥が職員エリアで、窓口が横一列にずらっと並んでいる。二階から上は食堂などの共用施設が入っている。  従業員用の裏口から入ったキールは、廊下の壁鏡で身だしなみをチェックした。髪を切って少しさっぱりした自分が映る。昔より少し瘦せたか。  支給された制服にチョッキ。襟を正して紐ネクタイを調整し、右手に装着している黒革の手袋を確認する。手袋は自分で用意したも