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作者:ゆうきりん,Takto
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-02-10(ASCII Media Works)
价格:¥630 原版
文库:电击文库

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迷宮料理人ナギの冒険 ~地下30階から生還するためのレシピ~      1 「馬鹿者が! 今日は一日、ここでその炊具車を磨け! 大事なものだからな! 心を込めて丁寧に、顔が映るくらいぴかぴかに綺麗に磨くんだ! いいな!」  問答無用で、店の裏にある倉庫に放り込まれ、鼻先に太い指を突きつけられる。  腹立たしいが、父に敵わないとナギが思い知らされるのは、こんな時だ。  相手は、剣ではなく包丁を振るただの料理人なのに、自分の目指す場所を思えば、情けなくて消えてしまいたくなる。  だが、今度もまた、何も言い返せないまま、扉が轟きを立てて閉まった。 「……馬鹿力」  足音が十分小さくなってから、ナギはぼそりと呟いた。  戻ってくる気配がないか、耳をそばだてる。  ……大丈夫そうだ。  もう一拍待って、ナギは、大きく息を吸った。 「くそ親父! 何が、おまえに冒険者は無理、だ! 毎日毎日、芋の皮を剝かされて! くそ重い鍋を振らされて! そんなんで、剣の腕なんか上がるわけないじゃんか! 稽古の邪魔すんじゃねえよ!」  怒りに任せ、置かれていた黒い金属の箱を蹴ると、うわんと音が反響した。  痛みにうめき、ナギは靴の上から爪先を押さえた。  磨けと言われた炊具車だ。  煙突が付いていて、暖房器具に似ているが、車輪があり、人が牽くようにできている。  こいつは簡単に言うと、移動式の厨房だ。持ち上げ式の調理台もついているし、鍋やボウルを下げるフックもあるから、これが一台あれば、どこででも料理ができる。  とはいえ、使われてはいない。  物心ついた頃からここにあるから、少なくとも一〇年は置きっぱなしだった。罰で、しょっちゅう磨かされているから、ぴかぴかだけれども。  溜息をつき、ナギは棚から乾いた雑巾を取ると、自分の蹴ったところを拭った。  どうせ今日で最後だ。他のところも磨いておこう──といっても、汚れているところなどなかったが。 「これでよし、と」  手を叩いて埃を落とし、炊具車を覗き込む。黒い金属の箱には、父に言われた通り、顔が映っている。  どこか不安げな自分の顔に、ナギは眉をひそめ、雑巾を棚に投げつけて戻した。 「……けど、我慢もここまでだ」  ナギは肩をそびやかし、倉庫の奥に隠しておいたリュックを引っ張り出した。  パンパンに膨らんでいるせいで、何かに引っかかったが無理やり取り出した。破