后退 返回首页
作者:五十嵐雄策,フライ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-12-09(ASCII Media Works)
价格:¥630 原版
文库:电击文库

代购:lumagic.taobao.com
幸せ二世帯同居計画 ~妖精さんのお話~    1  人情紙のごとしとはよく言われるが、この不景気の日本においてそれはもうまさに藁半紙のごとき薄さであった。  早くに両親を事故で亡くし、親戚間をたらい回しにされて生きてきた俺たちはそのことをよーく知っていた。だから高校二年に上がると同時に俺は妹を連れて、五軒目のたらい回され先であった遠縁の親戚の家を出た。両親の僅かな遺産もあったことから二人だけで生きていこうと決めたのだ。だけどようやく手に入れたそんな兄妹二人だけの慎ましくも楽しい生活は、三週間と二日ほどで終わりを告げた。  理由は簡単。住んでいた安アパートが不審火により全焼したのだ。幸いその時に出かけていた俺たちの身に危険はなかったものの、家具だのの生活必需品、虎の子の現金などは全て灰となった。当然ながら火災保険などというものには入っていなかった俺たちはもう途方に暮れるしかなく、そのまま必然的に家なき子となった。  なにぶん金がなければ何も出来ない世の中である。親戚のところには死んでも戻りたくなかった俺たちは、デパートの試食コーナーで空腹を満たし、ダンボールをフトン代わりにして公園で寝泊りをするというプライスレスな生活をせざるを得なくなった。 「ま、毎日がキャンプみたいで楽しいね」  妹は健気にもそう笑っていたが、これはもうキャンプ生活というか単なるホームレス生活というやつである。  仮にもお年頃の女の子にそんな生活をさせるのは兄としてどうかと思ったし、何より俺自身もこんな毎日が生きるか死ぬか瀬戸際のサバイバル生活にはピリオドを打ちたかった。  だから俺は考えた。  この状況を打開するためにまず必要なもの。  それは── 「家だよな」  そう、生活の拠点となる家。何を置いてもまずそれが必要だ。バイトをして金を稼ごうにも住所不定ってのは色々マズイ。  だけど現在の所持金は全部で二万八千円。いざという時のために貯金を全て現金にして家に置いておいたのがアダになったカタチである。これでは家どころかビジネスホテルに三日も泊まれば全てなくなってしまう。  俺は悩んだ。何とか金をかけずに家を手に入れられないものか。  だけどそんなウマい話が世の中にそうそう転がっているわけがない。風に吹かれて公園内にカサカサと転がっていたのは最近テレビでよく見る『オベロンハウス』の建て売り住宅の宣伝チラシくら