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作者:三田千恵,DANGMILL
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2017-01-30(Enter brain)
价格:¥590 原版
文库:Fami通文库

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リンドウにさよならを リンドウにさよならを 三田千恵 電子版 ファミ通文庫 本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 青空の下で 一.甘い、卵焼き 二.空の音 三.ドイツの撃墜王 四.重なった掌 五.リンドウの花 六.襟仁遥人は 終章 リンドウにさよならを あとがき プロフィール  彼女を、思い出す。  突き抜けるような青空ともくもくとわき立った真っ白な入道雲、心臓に直接響いてくるような心地良い低音を轟かせて、まっすぐに空を横切る大型旅客機。夢みたいに完璧な今日の空に胸を打たれたからだろうか。ふと、馬鹿みたいな考えが頭を過る。このまま視線を下げれば、彼女が目の前にいるのではないだろうか。  軽く瞼を閉じると、自分でも呆れるくらい鮮明に、あの頃の彼女を思い浮かべることができた。  太陽の光を一身に浴びて、彼女は立っていた。手すりに軽く手をかけて、まっすぐに前を見つめている。背筋をしゃんと伸ばしたその後ろ姿はそれだけで十分にきれいだけれど、どうしても顔が見たくて、心の中で念じてみる。  こっち向いて、襟仁。  風が吹いて髪の毛がさらさらと揺れると、隠れていたうなじがちらりと見える。じっとりと汗ばんでいるうなじには、濡れそぼった数本の髪の毛が纏わりついていて、その黒のせいで、抜けるような肌の白さが際立っている。  ふと風がやんだ。乱れていた髪の毛は、彼女が数回撫でつけただけで、肩のラインにきれいに収まった。  そこでようやく彼女は振り向いて、大きな瞳をゆっくりと細める。 「おはよう、神田くん」  頭ではわかっている。そんなはずはない。彼女が屋上にいるはずはないし、僕に笑いかけてくれるはずもない。襟仁遥人はこの青い空の下、ここではないどこかで元気に暮らしているだろう。  瞳を開くと、彼女は消えた。当たり前だ。  立ち上がって校門を見下ろすと、豆粒サイズの人影が、ぞろぞろと集まってくるのが見えた。もうすぐ、二学期が始まる。  狭苦しい教室の中、働き蟻みたいにせわしなく動き回る生徒たちを、ぼんやりと眺めていた。教室の一番後ろ、腰ほどの高さがある古びた棚の上が僕の定位置だ。ゆったりと腰をかけて、上から見