さよなら、サイキック 2.愛と解放の地図
さよなら、サイキック
2.愛と解放の地図
清野 静
角川スニーカー文庫
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本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
Contents
第1章 ブロンドガール、ストライクス!
第2章 ハイド・イン・シャドウ
第3章 マイ・ロスト・ファング
第4章 ブレイカーズ
第5章 グッバイ、サイキック
終章
あとがき
だれかに好きだって告白することは、この世でいちばんむずかしい。
緊張でドキドキするし、足は震えて心臓は飛び跳ねそうになるし、もし断られたらって考えただけで、面と向かってなにか言う勇気なんてどっかに消し飛んでしまう。や、ていうか、ふつうに考えたらこんなの出来る奴の方がおかしい。でも、女の子っていうのはそれをやる生き物なんだよな。
あの日、木佐谷樹はそれをやった。
木佐谷樹軍乃が勇気のある奴だってことは知ってる。美人で、強くて、かっこいい。でもあの日、夏の盛りの夕暮れに彼女がぼくとロンドの前で面とむかって言ったことは、たんにこの子の持つ勇気や度胸だけに留まらない、なにか特別な意味と重みを孕んでいた。そう、あの日、ぼくらはたしかに新たな一歩を踏み出したのだろう。
「なに他人事みたいにいってる。お前はどうするんだよ。ああ?」
「ち、ちょっと待った! つーかギブキブキブっ」
もっとも、のちに朱音儀チヅルにヘッドロックからコブラツイストの連続技を喰らった挙げ句、正座で説教を受けたみたいに、ぼくの方はと言えば恋と力、その双方を持てあましてふたりの女の子の間を右往左往するだけだった。でも、ひとつ言い訳をさせてもらうなら「恋をすれば超能力は失われる」というこの言葉の持つ意味を、あのときのぼくらはほとんどわかってはいなかったのだろう。───たぶん、当の木佐谷樹も含めて。
「そんなの気にしちゃ駄目よ! 恋をしたらあとは一直線。頭から飛び込まないと。見る前に飛べっ、よ」
そういって盛大にけしかけるヒルガオさんの言葉が正しいかどうかはともかく、結果的に木佐谷樹のこの蛮勇がぼくらにたくさんの仲間や友達(いい響きだ)と出会う機会をつくることになったのは確かだ。
なにより彼らと出会ったことで、ぼくの横にいる