脳Rギュル3 ソラと耳にルルとパラソルにくカゲ
小学館eBooks〈立ち読み版〉
脳Rギュル3 ソラと耳にルルとパラソルに囁くカゲ
佐藤 大
原作 夢野久作
イラスト わんぱく
目次
ソラと耳にルルとパラソルに囁くカゲ
■ 序章序章
■ 第一章
■ 第二章
■ 第三章
■ 第四章
■ 第五章
■ 第六章
■ 第七章
■ 第八章
■ 第九章
■ 第十章
■ 第十一章
■ 第十二章
■ 第十三章
■ 第十四章
■ 第十五章
■ 第十六章
■ 第十七章
■ 第十八章
■ 第十九章
■ 第二十章
■ 第二十一章
■ 第二十二章
■ 第二十三章
■ 終章終章
脳Rギュル設定資料Ⅲ
スタッフ・リスト
サンプリング・ソース
闇の中に闇があり
又闇がある
その核心から
血潮したたる
大詰めの
アンチキシヤウの美くしさ
赤いインキの血しほしたたる
一九三○年
夢野久作「猟奇歌」(抄)
ソラと耳にルルとパラソルに囁くカゲ
■ 序章序章
ぽかーん、と。
頭の上には、呆気ないほどの青空が広がっていたのだ。
まさに「嵐が通り過ぎたあと」って感じの、秋晴れ。
ベッタリと広がった水色の上に、刷毛でササッと撫でたような白くて薄い雲。こういうのって、なんて言うんだっけ。ほら、受像機テレビのアナウンサーがよく言うじゃん。台風一家。ないしは、タイフーン・ファミリー。きっと絶対、漢字が間違ってるけど、そこは気にしない方向で。
「あー、あー、本日は晴天なり」
誰にも聞こえないように、小さい声でつぶやいてみる。
そんなバカみたいな青空の下、黒い服を着た人たちが、ぞろぞろと広場に集まってくる。
こういう風景って、どっかで見たことあるな。そっか、蟻だ。蟻の行列だ。
茶色い土の上を、ひーこら言いながら、ちょこちょこ歩いていく蟻の群れ。砂糖菓子の欠片とか、小さくちぎれた蟲の死骸をよいしょよいしょと運んでく、あれ。
んでもって、そんな蟻の群れが向かっている先は、白と黒のシマ模様で飾られた白木の祭壇。まわりには、黄色とか白色の花が「これでもか!」っつーくらい、山になってる。ちょっと彩りが足りないかなあ、と思うんだけど、菊とか百合しか飾っちゃいけない決まりらしいので、それはしょうがない。
こんなに悲しいのに、空は晴れている。
空が青すぎ