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作者:神田夏生,麦春あやみ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-10(ASCII Media Works)
价格:¥650 原版
文库:电击文库
丛书:狂気の沙汰もアイ次第(1)
代购:lumagic.taobao.com
狂気の沙汰もアイ次第    ── イチ ── 『これから皆さんには、とある《観察》に付き合っていただきます』  高音を何重にもしたような奇妙な声で、目の前の何かは言った。  それは「何か」としか言いようがない。言葉にするのが難しいが、無理矢理たとえるなら、大きなシャボン玉といったところだろうか。淡く光る、虹色の霧みたいなぽわぽわしたものが、サッカーボールくらいのサイズの球形をつくっている。 「……は?」  としか言えなかった。頭の中が疑問符で埋め尽くされている。  周りには僕以外に六人もの人間がいるが、知っている人は一人もいない。この人達は誰なのだろう。  そもそもここはどこだ。コンクリートの打ちっぱなしのような場所。しかし素材はコンクリートではないだろう。コンクリートの鼠色にメタリックさを取り入れて近未来風に仕上げてみました、と宣伝文句がつきそうな、光沢のある壁、床、天井。  前方にも後方にも長く伸びているから、ここは通路なのかもしれない。ただ通路にしてはやけに広く、七人なら並んで歩けそうな横幅だ。  鈍い輝きを放つメタルシルバーの周囲は、まるで映画の中の光景のようで、これは現実なのか疑ってしまう。もしかしたら夢なのかもしれない。だって僕は、今どうして自分がここにいるのか、まったくわからないのだ。 『繰り返しますね。これから皆さんには、とある《観察》に付き合っていただきます』  虹色のぽわぽわから、また声が発せられる。口どころか音声が出てくるような穴さえ見当たらないのに、どこから声が出ているのだろう。  他の六人も皆、何がなんだかわからない、という表情をしている。 「あの。あなたは、なんなんですか?」  恐る恐る、僕は尋ねてみた。 『我々は宇宙人です。名前はまだない』 「……は?」  指摘したい箇所が多すぎる。我々と言うが一体にしか見えない。しかも、どう見ても人型ではない。宇宙「生物」ならまだわかるが、宇宙「人」ではないのではないか。それ以前に、宇宙人なんて僕の前に現れるはずがない。何の冗談だ。 『いいですか皆さん、よく聞いてください。我々は、あなた方を地球からこの@※★※☆※星へと攫ってきました』 「……は?」  さっきからこれしか言えず、とんでもない間抜けのようだ。だが他に何を言えばいいのかわからない。  気が付いたら知らない場所に知らない