后退 返回首页
作者:椎田十三,憂姫はぐれ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-10(ASCII Media Works)
价格:¥630 原版
文库:电击文库
丛书:いでおろーぐ!(5)
代购:lumagic.taobao.com
いでおろーぐ!5    1  九月──夏休みが終わり、二学期が始まった。平年ならだらけきった夏休みが名残惜しくて八月三十一日には枕を濡らしているところだが、今年は違う。そもそも夏休みにちっともだらけることができなかったから、学校がはじまってもさしたる落ち込みはなかったのだ。  俺ら、反恋愛主義青年同盟部はこの夏休みをほぼ丸々費やして、この新学期に向けて恋愛至上主義者らを完膚なきまでに粉砕すべく準備を重ねていた。  そして新学期早々、その長く苦しかった運動準備の成果を、リア充の、そして恋愛至上主義を翼賛する生徒会の眼前につきつけた。  九月一日、始業式の日。夏休みの終わりを嘆く憂鬱な顔で教室を訪れた学園の生徒たちは、我々の作成したビラがひとりひとりの机上に置かれているのを見て、その内容に感動・自らの夏休みの行いを反省し、滂沱と涙を流しつつ、『もう恋愛になど現を抜かしません』『恋愛なんていうのは、洗脳に過ぎなかったのね』と口々に懺悔の言葉を呟いたのだった。  そのビラの内容は、こうである。 浮かれきった夏休みを過ごした恋愛至上主義者を糾弾する!!  恋愛至上主義に耽溺する諸君!! 諸君らは如何ような夏休みを過ごしただろうか? 気心の知れた仲間たちと遠出して、学期中にはできない宿泊を交えたレジャーにいそしんだ者。二度とは来ぬこの高校生の時期、人生のうち最も肉体的に充実したこの時に恋人と海で過ごす──そんな陶酔に浸った者もいるだろう。夏祭りにでかけた者も多く有るはずだ。普段は拝むことのできぬ恋人の浴衣姿を堪能し、祭りという非日常の世界を楽しんだことだろう。  また、花火大会に繰り出した者もいるにちがいない。夜空に咲く大輪の花、それに見とれる恋人のその横顔に、自分は見とれてしまうそんな贅沢を楽しんだはずだ。  諸君らの楽しかった夏休み──しかし我々は、諸君らのその『充実』に抗して、敢えてこう言わねばならない。  その享楽は、全て幻想である。マヤカシである。諸君に掛けられた洗脳が脳内に映し出す虚像にすぎないのである。諸君らが褒めそやし夢中になり必死で摑みとろうとするその『恋愛』なる概念は、実は正体のない空虚な幻想にほかならないのだ。  我々、反恋愛主義青年同盟部は昨年の活動開始より一貫してこのことを主張しつづけてきた。しかし恋愛に脳を侵されきった諸君らは我々の主張を『非リア