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作者:ひなた華月,笹森トモエ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-09-29(讲谈社)
价格:¥594 原版
文库:讲谈社轻小说文库
丛书:雛菊こころのブレイクタイム(2)
代购:lumagic.taobao.com
雛菊こころのブレイクタイム2 ご利用になるブラウザまたはビューワにより、表示が異なることがあります。 口絵・本文イラスト/笹森トモエ デザイン/ムシカゴグラフィクス Prologue 忘却する記憶 「伊莉也っちはさ、人間の一番許されない行為って、何だと思う?」  急に投げかけられた質問に対して、僕はとっさに答えることができなかった。  質問の内容がそう易々と答えられるものじゃないっていう理由もあった。  でもそれ以上に、いくら教科書を見せるために机を引っつけているとはいえ、授業中におしゃべりをするのはどうにも憚られる。  しかし、そんなことはどうでもいいというように、彼女は僕のほうを見ながら回答を待っている様子だった。  なので妥協案として、筆談をやってみることにした。  考えた末に、僕はノートの端の空白部分に『約束を守らないこと?』と書いてみる。  すると、僕の回答を見て、彼女は不敵な笑みを浮かべ、少し赤みがかった自分の髪を弄びながら呟いた。 「そっか、うん。伊莉也っちの考えもなかなか興味深い。『約束を守らないこと』か。確かにそれは許されないね。面白い回答が聞けたよ」  どうやら彼女は、僕に合わせて筆談に移行する気はないようだ。  ついでに、変なあだ名で呼ばれていたのは僕の聞き間違いではなかったらしい。 「でもさ、それはちゃんと『悪いことをした』っていう自覚があるだろう? でもね、私の答えはそうじゃなくて、無意識に悪いことをしているのに、自分自身で気づいていない行為のことを言いたいんだよ。それじゃ、伊莉也っち。少し質問を変えよう。私が考える人間の一番許されない行為って、何だと思う?」  頰杖を突きながら向けられた不敵な笑みが、彼女のミステリアスな印象をより一層際立たせていた。  回答が思いつかなかった僕は、白旗をあげる形で、空白に『わからない』と記す。  すると、彼女は悪戯な笑みを残したまま、こう呟いた。 「私はね、不都合になった記憶を『忘れる』という行為だと思うんだ」  彼女はそのまま僕を忖度するような目を向けて、話を続ける。 「人間は、自分の記憶を簡単に操作できるんだよ。特に、他人を傷つけた記憶っていうのは簡単に忘れることができる。罪の意識から逃れるために、自分の中で『なかったこと』にしちゃう。いやはやホント、人間っていうのは身勝手な生き物だと思わ