ガジェット 全5巻
【合本版】
ガジェット
全5巻
九重一木
角川スニーカー文庫
目次
ガジェット 無限舞台 BLACK&WHITE
ガジェット 2.終末時間 PLATINUM GIRL
ガジェット 3.闇色輪廻 WORLD IS RED
ガジェット 4.人形幻想 COLORLESS MARIONETTES
ガジェット 5.生命新約 THE COLORFUL FUTURE
ガジェット
無限舞台 BLACK&WHITE
九重一木
角川スニーカー文庫
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本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
CONTENTS
第一章 〈生命体〉は動揺する
第二章 〈侵略者〉は捕食する
第三章 〈角笛を吹く精霊〉の審査
第四章 〈慈母〉は静かに嫉妬する
第五章 〝傷ペイン〟は覚醒する
第六章 そして〈世界〉は未だ邂逅せず
あとがき
1
僕の背後で屋上の扉が閉じた。
鉄とコンクリートが擦れ合う重い音に、なんだか閉じこめられたような気分になる。
「……どうしてこんなことに」
扉に鍵がかかってるわけじゃない。でも、どうせ呼び出すならもっと広い場所にして欲しかった。屋上には金網と給水タンクしか見るものがない。人だって僕らの他は誰もいない。
だから僕は、目の前にいる彼女と正面から向き合うしかない。
彼女の大きな丸い目が僕を見てる。両手でスカートを押さえてるのは、風が強くなってきてるから。白い、陶器みたいな手で握ってるのは薄っぺらい茶封筒。
どうして彼女が、ここにいるんだろう。
僕の手の中にある同じ形の封筒が、ぐしゃ、と潰れた。固く握った手が汗ばんでいく。
この手紙を、僕の机に仕込んだ奴は人間じゃない。
頭のてっぺんには、髪に隠れて角とか触覚とか生えてるに違いない。ここを切り抜けたら手紙を分析して犯人を捜し出して、そいつの髪をバリカンで一本残らず刈りとって学校から追放するべきだろう。もっとも、転校してきて三ヶ月(うち一ヶ月は夏休み)の新入りに、クラスのみんなが協力してくれるかどうかは分からないけど。
九月の夕暮れ時。僕も、目の前にいる彼女も夕日で赤く染まってる。
もうすぐ下校のチャ