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作者:七飯宏隆
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-02(ASCII Media Works)
价格:¥551 原版
文库:电击文库

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ルカ ―楽園の囚われ人たち―    主メインファイル1 新日本国憲法最後の日  運命とは、人間を使って行うドミノ倒しである。  それは、ある日突然訪れる。なんてことのない、些細なきっかけから始まる。  最初はとても小さな、そよ風で倒れるような貧弱な牌だ。それはたいてい、他愛のない噂話だったり、小さな誤解だったり、単純なすれ違いだったりする。  ところがそれが人から人へと倒れていくうちに、次第に牌が大きくなり、速さを増し、やがては濁流のごとき勢いとなる。そうなってはもう誰にも止められない。最後に倒れるものが何かに気付いて必死に流れを遮ろうとしても、手をこまねくその目の前をあざ笑うかのようにドミノは駆け抜けていく。  最後の牌が倒れるまで。  その日、人類最後の少女=まゆは、視聴覚室で古い映画を観ていた。  彼女を見る度に私が想起するのは、開花寸前のつぼみだった。それも寒梅の。くだらぬ感傷にすぎぬかもしれないが、私はいつも彼女をそう捉えていた。  春を待たず、空気の一粒一粒が凍るような寒さの中で、鮮やかに咲く健気な花──  正確な年齢は未確認だが、外見的には十二、三歳ほどの少女である。自然光をほとんど浴びたことのない雪のように白い肌に、被服工廠から引っぱり出してきた白いワンピースをまとっている。だらしなく床に座り込んだ彼女が映画のBGMに合わせて体を揺らす度に、カーペットの上へ放射状に広がった夜の海のような髪がさらさらと波打つ。私が知る限りこの時点で八九六○三時間は切断していない彼女の髪は、立ち上がると膝の後ろ辺りまであるのだからその長さと量には圧倒される。その髪と、大きな一対の瞳と、ほんのりと朱色に染まった唇だけが、この白い少女のアクセントとなっていた。  三十人ほどが座れる小さな映画館のような視聴覚室には、今はそのまゆと、もう一人の少年だけしかいない。分厚い暗幕にすっぽりと覆われた部屋は暖かく閉ざされていて、まるで誰かに抱きしめられているような、隠微な親密さが息づいていた。 「ねえ、ヒロ君」  まゆはその瞳をくるくると動かし、おやつのポテトチップスをパリンと嚙み砕くと、油のついたままの手を少年の目の前でひらひらと動かした。  少年は露骨に顔をしかめる。「話しかけるなって言ったろ。先生は忙しいんだよ」 「ごめん。でも、あのね」  ぞんざいな扱いに機嫌を損ねるかと思いき