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作者:時田唯
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-02(ASCII Media Works)
价格:¥594 原版
文库:电击文库

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有川夕菜の抵抗値    第一章  もし人類を二つに分けろと言われたら、有川夕菜には即答できる自信がある。  家族と敵。別に、好きで敵対している訳でもないけれど。  皮肉げに笑い、夕菜は教室内を見渡した。  私立、花音高校二年三組。始業式によるクラス替えの影響か、教室内には浮き足立った空気が僅かに残っていた。期待とまではいかないにしろ、変化の予兆を感じたような浮遊感。もっともその幸せそうな空気の大半を、夕菜自身がぶっ潰してしまった訳なのだが。  軽く首を鳴らし、教室内を睨みつける。周囲からは遠巻きに、彼女の耳元に小さく聞こえる内緒話が聞こえてきた。耳打ち程度の、夕菜には聞こえないように配慮された声。その小さな声のやり取りは、大半が夕菜へと向けられたものばかり。  どうせロクな話では無いだろう。望むべくなら噂に尾ひれがついて、全校生徒からさっさと嫌われてしまえばいい。その方が、夕菜にとっては都合がいい。  ため息をついて、夕菜は左隣に視線を向けた。周囲の噂はさて置き、夕菜には先程から一つ気になることがある。  隣に座る女子生徒が、明らかに怪しい視線を向けている事だ。嫌悪とは違う、好奇心のような視線。人が先程、話しかけるなと言ったばかりの筈だが── 「あの、さ。有川さん」  夕菜は眉を上げた。遠巻きに見つめていた他の生徒が凍りつく。  先程から奇怪な動きを見せる女子生徒を、夕菜は改めて睨みつけた。  長いストレートの髪を揺らし、全体的に活発そうな雰囲気を纏っている。背は夕菜よりも幾分高く、百六十はあるだろう。制服なのは当然としても、そこから見える胸もスタイルもなかなか良い。快活で、学校の中では人気のありそうなタイプ。夕菜には関係のないことだが。  軽く腕を組み、夕菜はその生徒へ視線を向けた。 「……何」 「あたし、浅草千春。よろしく」  にこりと笑い、千春は笑顔と共に手を差し伸べてきた。  馬鹿かこいつ。 「人の話を聞いてなかったのか。消えろ」  夕菜の丁重な返事に、千春の顔へ強烈な亀裂が入る。 「……で、でも隣の席だし、ほら」 「さっき話しただろ。私に話しかけるな。鬱陶しい」  腹立たしい。どうしてそう、無理に割って入ろうとするのか。人が嫌がっていると言うのに。 「いや、ほら。有川さん、まだこの学校に来て最初だし、色々困る事もあると」 「う