星降る夜は社畜を殴れ 全3巻
【合本版】
星降る夜は社畜を殴れ
全3巻
高橋祐一
角川スニーカー文庫
目次
星降る夜は社畜を殴れ
星降る夜は社畜を殴れ2
星降る夜は社畜を殴れ3
星降る夜は社畜を殴れ
高橋祐一
角川スニーカー文庫
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目次
Round 1 明るくアットホームな職場です
Round 2 お客様は神様です
Round 3 反社畜 怒りの定時退社
Round 4 うわっ……あいつの時給、低すぎ……?
Round 5 そして誰もいなくならない
Round 6 『流星』を継ぐ者
終章 万国の労働者よ、帰宅せよ
あとがき
よし、今日の仕事は完璧だ。
オレは手元にある書類の最終チェックを行いながら、まる一日かけて成し遂げた自分の労働の成果に満足し、その運命の時が来るのを静かに待った。
あと一分。心がはやるのを必死で抑え付けながら、数字で満たされた書類をクリアファイルにしまい、デスクの上に置きっぱなしになっていた文房具類を引き出しの中に片付ける。パソコンの電源が切ってあることも確認。そして──。
ありふれた掛け時計の秒針が「12」を指したとき、オフィスの空気が張り詰める。
今日もまた、運命の午後5時30分00秒がやってきた。
「お疲れ様でした! お先に失礼します!」
定時ジャスト。オレは立ち上がり、明るく威勢のいい声を『ワクワクフーズ』本社ビル七階総務部総務課室に響き渡らせた。場の緊張のボルテージが、一気に駆け上がる。オレは、この春入社したばかりの若造にすぎない。そんなオレからの宣戦布告に、先輩社員や上司たちの顔は一瞬で凍りつく。
デスクの横に立てかけてあったカバンを引っつかんだ。少しでも早い退社を実現させるために、あらかじめロッカーからこちらに移動させておいたものだ。タイムレコーダーが設置されている窓際まで一瞬で距離を詰める。
オレの名前は立花アキト。趣味はゲームと漫画。好きな食べ物は焼きとうもろこし。好きな言葉は『自由奔放』と『勇気凛凛』。勉強よりも身体を動かすことの方が好きで、足の速さにはわりと自信がある。まあごく普通の17歳だ。ちょっと他