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作者:十階堂一系,なぎみそ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-11-10(ASCII Media Works)
价格:¥610 原版
文库:电击文库

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ノイズ ドラゴラ  人に孤独を植え付けるものは、大きく分けて二つある。  それは暗闇と、静寂だ。  見えることと、聞こえること。それらを奪われると人は途端に不安になる。なぜなら人は、常に外からの影響を受ける生き物だからだ。それは素肌に触れる大気、鼓膜を揺らす振動、網膜に飛び込む光。社会という括りに内在する視線とルールと外向意識。ありとあらゆる要素が人の周りを飛び交っている。そして自分もその一要素となるために、自分というものを発信するために、人は人に向けて何かを訴え続けている。影響を受け、影響を与え、そうして人は自分を形作り、自分を定義する。人が人であり続けるには、世界とうまく結び付けられている必要がある。  ゆえに自分と世界を接続するツールの機能不全は、自分自身の生活に大きなダメージを与えることになる。他者が、世界が、自分に向けて何を発信しているかが読み取れない。また、自分が他者や世界に向けて思いを届けることができない。それらがどれほどの苦痛かは、説明するまでもないだろう。  だから人は両目を開けて、両耳ダブルを開けて世界を取り込もうとする。自分の中に外からの情報が常に入り込み続けることで、ようやく人は安定を手に入れる。  ……らしい。  ぼくにはよくわからないが。  結局のところ、この話からわかることは一つだけ。人を孤独に陥れるには世界との繫がりを絶ってしまいさえすればよく、それには暗闇と静寂の中に放り込むのが最適だってことだ。  そしてこの場所には──夜の森の中には、暗闇と静寂の両方が揃っている。 「よし、全員そろったな!」 「待ってくださいよリーダー、まだ足りねぇんじゃねっすか?」 「足りねぇ? 誰か遅れてるか?」  整備された登山道を外れ、十分ほど木々の中を歩いたところに、数人の少年少女が集まっている。もちろん登山客なんかじゃない。月の見えるこんな時間に、獣道を通ってハイキングに行っても楽しめるわけがない。  ぼくらは、マンドラゴラを狩りに来た。  専門家でもないくせに、やらなきゃ死ぬってわけでもないのに、命の危険を冒してまで、小金欲しさにあの植物を掘り起こしにきた集団だ。集団と言ったって、声をかけたら寄ってきた人間を集めただけ。  この集まりに大人は一人もいない。はみ出し者の子どもと、数合わせに呼びつけられた中高生らしき子どもだけ。リーダーと呼