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作者:疎陀陽,ニリツ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-09-25(overlap)
价格:¥720 原版
文库:overlap文库
丛书:フレイム王国興亡記(5)
代购:lumagic.taobao.com
フレイム王国興亡記 5 目次 序章 第一章 幕間 第二章 幕間 第三章 第四章 終章  ラルキア王国、という国がある。  国名にフレイムの王都『ラルキア』の文字が入るのを見て分かる通り、この王国はフレイム王国……というより、フレイム『帝国』と密接な関わりがあった。建国王オットー一世はフレイム帝室の一員、皇弟であった。オットーは美男子で、およそ皇帝家に相応しくない程、無欲の人であったと伝えられている。その容姿と温厚な性格を皇帝に愛され、彼は末弟ながらフレイム帝国の全面的な支援の下、非常に平和的に『分家』とも呼べるラルキア王国を建国する事になる。将軍家に対する御三家、がイメージに近しいか。  ラルキア王国はその成立過程から『副皇帝』と称され、国土の大きさや豊かさとは別の論理として、国家の『格』としてはオルケナ大陸中の国家でも随一の名門王家であった。前述の通り、フレイム王家の分家でありその王朝の成立過程の理由の一つに『血のプール』の役割を期待されていた事もあり、フレイム帝国の後継者たるフレイム王国とも物心両面での交流が未だにある。事実、フレイム王国国王であるリズの母、アンジェリカはラルキア王妹であり、つまるところラルキア国王はリズにとって叔父に当たるのである。  そんなラルキア王家にはジェシカと呼ばれる聡明で美しく、民を愛する姫がいた。『ラルキアの妹』や『ラルキアの姉』、『ラルキアの娘』だったり、或いは『ラルキアの恋人』と呼ばれる姫。高貴な血筋で在りながら、身分を隠して貧民街での奉仕活動などに積極的に参加する『くだけた』姫であり、『花屋の娘、ジェシー』と偽名を使い奉仕活動に励んでいる、ちょっと変わった姫だ。  護衛達がてんやわんやしている姿と、ソレに気付かず甲斐甲斐しく奉仕活動をする姿は、『自分ではばれていないつもりでも、皆はジェシカと知っている』という、ある意味でコントの様な、それでいて微笑ましいラルキアの日常風景であった。それが許されたのも、建国以来他国の侵略を許した事の無い、平和なラルキア王国という風土があったからであろう。まるでオットーが乗り移ったかの様に、この国の人は総じて温厚であったのだ。 ◇◆◇◆◇◆ 「……何をなさっているのですか、ジェシカ様」 「ん? ああ、ルドルフ! 何をって……見て分からない?」  王城内の厨房。一歩足を踏み入れたラルキア王