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作者:三上延,榎宮祐
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-06(ASCII Media Works)
价格:¥572 原版
文库:电击文库
丛书:山姫アンチメモニクス(1)
代购:lumagic.taobao.com
山姫アンチメモニクス       1  篠原カズキには嫌いなものが二つある。  早起きと、掃除だ。  本人に言わせれば普通の十五歳男子に早起きが可能なはずはなく、登校前に掃除するような奴は人としてどうかしているのだが、今朝のカズキは家の前の道路を竹ぼうきで掃いていた。本人にやる気がないせいか、ほうきの先端はアスファルトをくすぐる程度に撫でているだけだ。  時間は朝の七時。これから学校に行かなければならないので、制服を着ている。 「めんどくさ……」  独り言の後半はあくびにまぎれていった。眠気を振り払いつつ、カズキは天を仰ぐ。十月の空は嫌になるほどよく晴れていた。  彼の背後には「浮雲荘」という看板のかかった、おそろしく古びたアパートがある。建てられてから何年経つのか正確なところを知る者はいないが、カズキが生まれる前どころか、カズキの両親が生まれる前からここにあるはずだ。  縦長の出窓や傾斜のきつい屋根、外壁を覆うレンガ──建てられた頃はモダンなアパートだったに違いない。しかし、長い年月で赤かったはずのレンガもモノクロ写真のようなくすんだ灰色になり、その上を枯れかけたツタが這っていた。外見はほとんど廃墟である。  カズキはこのアパートの敷地内にある母屋に祖母と一緒に暮らしている。本来の管理人兼大家である祖母・篠原トミは入院中で、彼が臨時の管理人だった。早起きと掃除は命令されて仕方なくやっているのだが、ここ何日か少し気になることがあった。 (そろそろかな)  と、思った瞬間に、近づいてくる足音が聞こえた。 (……来た)  一人の女の子が脇道から姿を現した。森に棲む鹿を思わせるようなすらりとした体つき。ねじったロングヘアをアップにまとめて、ライトグリーンのセーターとチェックのミニスカートを身に着けている。長いまつげの下で、茶色がかった瞳を大きく見開き、きょろきょろとあたりを見回している──とにかく驚くほどかわいい女の子だった。  彼女が浮雲荘の前を毎朝通るようになってから三日経つ。年はカズキと同じぐらいのようだが、制服を着ているところは見たことがなかった。  どこの子だろう、と思いながらカズキは彼女が通りすぎるのを見守っている。このあたりでは見ない顔だが、ひょっとすると最近引っ越してきたのかもしれない。  彼女はカズキの目の前を通りすぎようとする。目を留めようと