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作者:本田壱成,Sune
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-07(ASCII Media Works)
价格:¥670 原版
文库:电击文库

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シンドローム×エモーション      第一章 邂逅      1  夢を見ていた。今から遡ること三年前の夜の記憶だ。  自分が今の仕事に身を投じることとなった、その切っ掛けの夜。夢に見たのは久しぶりだった。どこか薄ぼんやりとした輪郭を伴って視界に戻ってきた、ありふれた教室の風景。それを撫でるように眺めながら、千歳環は浅く息を吐く。 「えー、だからつまり、現在の世界情勢は、悪夢の日ミラージユ・デイにおける各国の対応と、その事後処理によって構築された面が大きいと……」  午後の柔らかな日差しに教室が浸される中、教師の声が前方から流れてくる。現代社会の時間だった。まだ誰の記憶にも乾きかけの瘡蓋のように残っていて、歴史になるにはあまりに早すぎる──そういった出来事についての話。そんな話を聞いていれば、夢見が悪くなるのも必然というものだった。  かつかつか、と硬質な音をたて、黒板に文字が記されていく。教師の袖を染めていく白色の粉を眺めながら、環は自分のポケットの中に入っている端末と、眼前の光景との矛盾について考えた。端末さえあれば大抵のことはできるような世の中で、あえて板に粉を擦り付ける意味について。  そこで、ポケットに振動を感じた。眉根を寄せつつ、机の陰で端末を取り出す。メッセージの受信。学校の授業中にも関わらず環にメッセージを送ってくる人間など、彼の知り合いには一人しかいない。果たして、送り主は環が予想した通りの相手だった。 「先生」  無造作に右手を挙げる。教師の話が途切れるのを待って、ゆっくりとその言葉を口にした。 「仕事が入ったんで」  ああ、と教師が頷く。やりとりはそれだけだった。この教室で何十回と繰り返された結果、最低限の要素だけが残されたやりとりだ。  手早く荷物を纏めて席を立つ。教室を横切る際に、教室中の視線が自分へ注がれていることに気付く。ただの視線ではない。好奇と恐怖が、複雑に入り交じった視線。それを浴びながら、環は口元だけで薄く笑う。この視線には慣れていた。  纏わりつく視線を断ち切るように、廊下に出て教室のドアを閉める。そのまま足早に昇降口へ向かい、午後の日差しの中へ身を投じる。校門の前には、既に見慣れた車が停まっていた。  黒い、滑らかな輪郭の乗用車だ。側面には、小さく銀色の紋章エンブレムが刻まれている。数字の七で天秤を象った特徴的なフォルム。そ