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作者:支倉凍砂
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-07(ASCII Media Works)
价格:¥630 原版
文库:电击文库
丛书:狼と香辛料(18)
代购:lumagic.taobao.com
狼と香辛料XVIII Spring Log  雪をかぶった針葉樹が、寡黙な兵士のようにたたずんでいる。辺りは静かで、遠くから鳥の声だけがいやにはっきりと聞こえていた。  空に雲の一つでもあれば色々と想像ができたのに、今日に限って空は海の底のように青い。  結局、どんな顔をしていいかわからず、足元ばかりを見つめがちだった。 「では、参りましょう」  声が聞こえ、顔を上げるとすべての準備が整っていた。  先導の司祭役が、生真面目な顔のまま一礼をする。その後ろには、二人の男がそれぞれ身長ほどの棒を抱えるようにして持っていた。彼らは二本の棒で、ずいぶんと重そうな鉄の紋章を掲げている。その後ろにさらに六人ほどの男たちが左右に分かれて並び、肩に棺を担いでいた。 「神と聖霊のご加護があらんことを」  司祭役が厳かに唱え、一行がしずしずと歩きだす。すると、沿道の針葉樹の下から戸惑いがちに人が出て来た。  ある者は着飾り、ある者は仕事から抜け出てきたままだった。彼らは森で人と出会った鹿のようにまごついていたが、司祭役に促されると棺に近寄り、各々別れの挨拶を囁いた。短いながらも、一生懸命に考えたとわかる、心のこもった一言ばかりだった。彼らの言葉を聞いていると、まるで自分に向けられているかのような気持ちになり、少しだけ顎を引いた。  いや、そう受け取って構わないはずだ、と思い直したのは、曲がり角に差し掛かり、ふと来た道のほうを向いたからだ。  そこには一軒の建物がある。建てた当初こそやや気負いが見え隠れしたものの、いつの間にか角が取れて、どっしりとその場になじんでいた。少なくない人々の協力があったにせよ、ここを守ってきたのは自分たちにほかならない。そのことに、胸を張ってよいはずだ。  そんな胸中の想いが聞こえたのか、棺の前で紋章を掲げる男たちが、支えの棒を殊更に高く上げた。冬の太陽に照らされて鈍く輝くのは、一枚の看板だ。  そこに刻まれているのは、一匹の狼と──。 「神のご加護のもと、無事に神の家にたどり着くことができました。私たちの仲間の魂は、ここで永遠の安息を得ることでしょう」  田舎の山奥のこと、教会代わりに急きょ改装した納屋の前で司祭役が宣言すると、人々は恭しく頭を垂れた。司祭役はうなずき、男たちが納屋の中に棺を運んで行く。少し間を空けてから納屋に入ると、すでに祭壇の前に棺が置かれていた。男たち