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作者:七飯宏隆
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-27(ASCII Media Works)
价格:¥594 原版
文库:电击文库
丛书:タロットの御主人様。(4)
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タロットの御主人様。(4)      序章  チリも積もれば山となる。  そんな使い古されたことわざの実力を、まさかこんな形で思い知らされるとは。  大勢の買いもの客でにぎわう夏休みの巨大ショッピングモールで、俺は一つ一つはたいした重さじゃない、流行のサンダルやらファンシーグッズやら珍奇な輸入雑貨やらを両手いっぱいに抱えて、無様に力尽きようとしていた。  天井をこすりそうなリボンがけの箱の塔に、腕が「ぷるぷる」と震える。  その頂上が揺れるのに合わせて、右へ左へと千鳥足で「よたよた」。  ちょっとでも気をゆるめたら即雪崩を起こすに違いないデンジャラスタワーを、なけなしの根性を総動員して支えていると、すぐ横から高原の朝を思わせる涼やかな美声が響き渡った。 「ああ、まるで天国にいるようですわ。こうして秋人様と、いかにも庶民的な愛のショッピングができますなんて。これぞ甘い新婚生活の醍醐味ですわね!」 「し、新婚って、そんなっ」  刺激的な冗談にどぎまぎする俺をご覧になり、「ぽっ」と染まった頰に両手を添えたのは、現在、『とある事情』のせいで俺と同居しているメンバーの一人、鷺宮籐子様。  チョココロネみたく「くるくる」した髪を揺らし、十階分くらいはあるバカでっかい吹き抜けの下でうっとりと空を見上げる姿は、あたかもそこが彼女専用のステージであるかのよう。 「私、幼い頃からの夢でしたの。白馬に乗った王子様と『でぱーと』とかいう庶民の市場に赴き、思う存分お買いものを楽しむことが! 世界でただ一人、この私より見目麗しい秋人様でしたら、十分王子様の資格がございますわ」  華やかな籐子様は、ただそこにいるだけで磁石のように人目を引いた。旧華族につらなる鷺宮グループの一人娘という、激しく浮世離れした肩書きは伊達じゃない。高貴なお顔立ちといい、流麗な立ち居振る舞いといい、どっかの国の王女がお忍びで来てるんじゃないかみたいな、えもいわれぬ空気を醸し出してる。シンプルなワンピースが、かえってその希有の美貌を引き立てていた。  けれど本人は、自分がそれほどの注目を浴びてることになんてまるで注意を払わず、 「さあ秋人様! 次はあちらの売り場へ参りましょう。私、どうしても欲しいものがございますの。秋人様に選んでいただければ望外の幸せですわ!」  と、子供のような足取りで駆けていく。彼女はちょっとした