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作者:
三上延
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-06(ASCII Media Works)
价格:¥616
原版
文库:电击文库
丛书:
ダーク·バイオレッツ
(3)
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B01LXWF571
ダーク·バイオレッツ3 常世虫
三上延
ダーク·バイオレッツ
3
电击文库
¥616
¥1
ASCII Media Works
2016-10-06
日文
5
Kindle本, 书籍样本, ライトノベル
8
ダーク·バイオレッツ3 常世虫
1 退屈な仕事を乗り切るには想像力が必要だ。 図書館のカウンターに一人の司書が座っていた。大学を出たばかりの彼はこの図書館で一番若い司書だった。彼は新しく届いた本をデータベースに打ちこむ作業を続けていた。単純作業に近いもので、彼は退屈していた。 (面白い客でも来ないかな) 客、というのは彼が心の中だけで使っている呼び方だった。正確には公共の施設だから「客」ではない。変わった利用者が来た時に、あれこれその目的を想像するのが彼は好きだった。もちろん立ち入った質問はしない。そういうことに決めているからだ。 図書館を訪れる人間は大勢いるが、彼らの用事のほとんどはありきたりだ。一日のうち、彼の基準で「変わった」ことを調べている人間は一人か二人ぐらいだった。 「新聞を閲覧したいんですけど」 彼は顔を上げた。十五、六歳の女の子が立っていた。紺色のワンピースにストラップの長いバッグ。 「縮刷版が二階にありますけど」 「古い地方新聞は郷土資料室のデータベースに入ってるって貼り紙がありました」 幼い外見のわりにやけに落ち着いた話し方をする。 「いつ頃の新聞ですか」 「五十年ぐらい前です」 彼の好奇心がかすかにざわめいた。その頃の新聞は、先月やっとデータベース化の作業が済んだばかりだ。彼もそれを手伝っていた。 「図書館カードがあれば端末を使えますよ」 「持ってないんです」 「じゃあ、こちらに記入して下さい」 と言いながら、彼は受付の用紙を差し出した。 「神岡町にお住まいですよね」 「いいえ」 「じゃあ、通勤先か通学先は神岡町ですか?」 「……そうでなければ使えないんですか?」 「一応、そういう決まりになってます」 彼は答えた。あまり意味のない決まりだと思ってはいた。 「どうしても調べないといけないんですけど」 彼は少女を見る。淡々とした喋り方には媚びるような様子がまったくない。 なんの目的なんだろう、と彼は思った。よその土地に住んでいて、わざわざこの町の地方新聞を調べなければならない、というのは。 (学校の課題かな) せいぜいそんなところだろう。彼はさっきとは別の用紙を差し出した。 「……研究者」 それを見た彼女が呟いた。研究者特別許可書、と印刷された用紙だった。 「大学生か研究者なら許可が下り