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作者:三上延,榎宮祐
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-06(ASCII Media Works)
价格:¥594 原版
文库:电击文库
丛书:山姫アンチメモニクス(2)
代购:lumagic.taobao.com
山姫アンチメモニクス2       序章  川べりの土手に若い女が立っている。太陽はとっくに傾き、コンクリートブロックで護岸された斜面には彼女の長い影がぽつんと延びていた。  川音にまぎれて消防車らしいサイレンの音が聞こえる。百メートルほど離れたところに、安っぽい外装のホテルがあり、二階の窓の一つからもうもうと煙が上がっているのが見える。消防車はそこへ向かっているらしい。 「……ふう」  彼女はため息をつく。身につけているのは派手な白いフリルに縁取られた黒いミニのワンピースに、分厚いヒールの黒いブーツ。両手でワンピースをはたくと、体中から細かな黒っぽい煤のようなものがもうもうと立ちのぼった。パニエで膨らませたスカートの裾がゆらゆら揺れる。ついでにギャザーの入ったブラウスの胸元を、強烈に押し上げているボリュームたっぷりの胸元も揺れた。  くるくるにロールした髪の下から、猫のように黒目がちで大きな瞳が覗いている。長いまつげにすっきりした鼻筋に少し厚めの唇──十人中十人が美人だと認めざるを得ないだろうが、今は全身が真っ黒に汚れている。 「なんだったのかしら」  彼女は不思議そうにホテルの方を振り返る。ちょうどホテルの玄関に消防車が到着したところだった。消防隊員たちが黒煙の上がっている窓を見上げてなにか言っている。そこはほんの数分前まで彼女が滞在していた場所だった。  自分の身になにが起こったのか、彼女はまだよく分かっていない。部屋の中でくつろいでいると、野球ボールほどの丸いものが窓ガラスを突き破って飛びこんできた。と、言ってもただのボールではない。色は真っ黒で手作りらしく微妙に形が歪んでいた。そして、なにより違っていたのは、火の点いた導火線がくっついていたことだった。  彼女は反射的にドアから廊下へ飛び出した。続いて起こった轟音を背中にしつつ、ホテルから飛び出してきた。  普通、考えなければならないのは「誰がなんのためにそんなことをしたのか?」のはずだが、残念ながら彼女は普通の人間ではない──別のことが気になっていた。 「ああいうのをなんていうのかしら……火を点けると大きな音が出て……ものが壊れたりして……花火……?」  爆弾である。  しかし、それを教えてくれる者はここにいなかった。 「お前は山姫だな」  土手の下の方から声が聞こえた。流れのすぐそばに細身の少年の