ROBOTICS;NOTES 全3巻
【合本版】
ROBOTICS;NOTES
全3巻
原作:5pb.
著:岩佐まもる
角川スニーカー文庫
目次
ROBOTICS;NOTES 1 キルバラッド・アノテーション
ROBOTICS;NOTES 2 キルバラッド・ファントム
ROBOTICS;NOTES 3 キルバラッド・オンライン
ROBOTICS;NOTES
1 キルバラッド・アノテーション
原作:5pb.
著:岩佐まもる
角川スニーカー文庫
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、
本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
目次
Prologue
PHASE:01 チート
PHASE:02 廃墟
PHASE:03 初戦
PHASE:04 君島レポート
Interlude
あとがき
Prologue
──unknown
2015・??・??
誰かが言っていた。
こんなとき、親は子を守るために必死になるわけではない。子にすがってなんとか正気を保っていられるのはむしろ親のほうだ、と。
親子はそんな単純な関係ではない、と。
※
充血した男の目が私を見ていた。
狂気にぎらつく血の色。唇の端には唾液の泡が浮かび、その首筋はタールのような濃い血糊で汚れている。男の太い右手が握っているのは、ぬらりとした光を放つ大振りのナイフだった。刃の先端がわずかに欠けているのが見てとれる。当たり前だ。そのナイフはたったいま、男の足元に転がる十二人もの男女の肉と命を切り裂いたばかりなのだから。
返り血を浴びた男の顔は笑っていた。
楽しくて楽しくて仕方がないとでも言いたげなその瞳が、私の全身を犯しつくす。皮膚の内側を無数のヘビが這っているかのような感覚と共に、私自身が視姦されていく。
そうして、動けない私の前で男はナイフを振り上げ──。
無造作に自らの頸動脈を断った。
男の首から噴出する血が私の頰と瞳を濡らす。紅く染まる視界の中で、男の体が崩れ落ちていく。倒れ伏すその瞬間まで男の顔は笑ったままだった。
これで死体の数が十二から十三になった。
世界の一切から生気が失われたような静寂の中、その場で動ける者はもう誰もいなかった。無論、私も含め