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作者:三上延
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-06(ASCII Media Works)
价格:¥659 原版
文库:电击文库
丛书:ダーク·バイオレッツ(7)
代购:lumagic.taobao.com
ダーク·バイオレッツ7 神の書物    1  病室の外では、白いものがちらつき始めている。今年の初雪だった。  高木千紗はベッドの脇の椅子に座って、窓の外を眺めていた。西陵高校のブレザーの制服を着て、紺色のダッフルコートを膝に乗せている。久しぶりに学校へ行った帰りに、神岡中央病院へ見舞いに来たのだが、患者の様子はなにも変わらない。  ベッドの上では赤みがかった髪の長い少女が、人形のように横たわっている。シーツのかかった胸元がかすかに上下しているので、息をしていることはかろうじて分かるものの、それ以外のどの部分もぴくりとも動いていなかった。  千紗はシーツの上に投げ出された彼女の左腕を見る。青いパジャマの袖から伸びた左手は、爪まで塗りつぶしたように黒い。左腕は指先から肩まで、完全に変色しているはずだった。  千紗は指を伸ばして、彼女のパジャマの襟元をかすかに開いた。白い首筋に紐がかかっているのが見える。その下の鎖骨のくぼみはかすかに黒い色彩に侵食されかかっているが、数日前と比べて特に変化はなかった。  千紗はほっと息を吐きながら、首にかかっている紐をたぐり寄せて、その先にある紫色の丸い鈴を引っ張り出した。  普通の人間には音の聞こえないこの鈴は、千紗たちが彼女の首にかけたものだった。彼女の体を侵食している黒い「もの」は、この紫色の鈴を身につけて以来進行を止めていた。  この患者──御厨柊美が深い眠りに落ちてから二週間が過ぎている。医師がどういう診断を下したのか千紗は知らないが、どんな医学的な治療を施したところで彼女が目を覚まさないことは分かっていた。  この神岡町は常世と呼ばれる異世界に近い。常世の門と呼ばれる通り道から、死者の意志を具現化する黒い霧が溢れてくる。その「常世の霧」は、死者の意志と結びついて怪物となる。それに対抗するために、この町には「紫の者」と呼ばれる人々がいる。柊美も千紗もその末裔だった。  千紗には死者の声を聞く「紫の耳」の能力がある。柊美はこの世ならざるものに触れる能力のある「紫の右手」の持ち主であり、常世の怪物を倒すことの出来る「紫の銃」の唯一の使い手でもある。しかしその銃は使い手の命を消費する。柊美はわずかな時間だけ自由に動きまわることと引き換えに、常世の霧を自分の体に受け容れてしまった。彼女の意識は常世に引きずり込まれたままだった。  使い手がいない以