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作者:三上延
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-06(ASCII Media Works)
价格:¥572 原版
文库:电击文库
丛书:ダーク·バイオレッツ(2)
代购:lumagic.taobao.com
ダーク·バイオレッツ2 闇の絵本    六日前・昼  六月に入ったばかりの空は珍しく晴れ渡っていた。ちょっとした梅雨の合間で、グラウンドはまだ乾いていなかった。校舎の屋上には、時々ひやりとした風が吹いている。  大きな給水塔のかげに、夏服の生徒が二人立っている。 「……柊美さん、屋上で待っててくれって言ったんだよな」  と、神野明良は言う。この神岡北高校の二年生で、今年四月に編入してきたばかりだ。全治一ヶ月の大怪我を負って、先週学校に復帰したばかりだ。「話してみると案外親切」、と言われることが多いけれど、その「話してみる」のをなかなか難しくするような威圧感を発している。  特に大怪我を負って以来、クラスでは一目置かれる──というより恐れられる──存在になっていた。「埋立地でヤンキーの集団と戦った」という噂が立ち、当人もそれを否定しなかったせいだ。  その上、右と左の瞳の色が違う──右目だけ紫色なのだ。入院前は黒く補正するためのコンタクトらしきものをはめていたが、退院後はそれも外していた。 「なんかね、相談したいことがあるからって」  と、神野岬は言った。彼女は明良の同い年の従妹で、運よく──明良にとっては運悪く──同じクラスだった。背が低く、髪はちょっとだらしなく伸びたショートカット。知り合いを見かけると、大声で挨拶をしながら走り寄るクセがあるので、名前は知らなくても彼女を知っている人間は数多い。  いくらか明良とは似た顔つきだが、威圧するような雰囲気はない。ふっくらした頰や二重瞼が「きりっとしている」ぐらいのレベルまで緩和していた。 「相談ってなんのことか言ってたか?」 「あんたに相談するんだから、きっとアレじゃないかな」 「……アレって?」 「『常世の門』のことでしょ」  話は二限目が終わった後にさかのぼる。体育の授業から戻ってきた二年C組の生徒たちは、髪の長い女子生徒が廊下に立っているのを見かけた。美人ではあるが、右手にだけはめられた手袋が違和感をそそる。  三年の御厨柊美だ、ということは皆知っている──彼女はこの学校の中では有名だった。  彼らは柊美をちらりと見ては教室の中に入っていく。 「あー、御厨さんだ。こんにちは!」  急に大声が響き渡った。廊下の端から背の低い女の子が走ってくる──神野岬だった。 「明良君いる?」  教室から生徒たちはちらちらと