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作者:三上延
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-10-06(ASCII Media Works)
价格:¥551 原版
文库:电击文库
丛书:ダーク·バイオレッツ(1)
代购:lumagic.taobao.com
ダーク·バイオレッツ    1  目を覚ました瞬間にしまった、と神野明良は思った。 「……やっちまった」  枕元の目覚まし時計を見てため息をつく。八時四十五分。朝のホームルームが始まっている時間だった。新しい学校に通い始めて一週間、初めての遅刻だった。もういくら慌てても仕方のない時間だ。  時計は壊れていないけれど時々ベルが鳴らない。この家に住んでいた彼の祖父が使っていたものだった。何年前からあるのか想像もできない代物だ。  彼はゆっくり起き上がる。コンタクト・レンズのケースを探したが、見当たらなかった。洗面所で外したままだということを思い出した。  彼は制服に着替えた。真新しいブレザーはまだ自分のものという感じがしない。転校してからまだ一週間だった。  明良は神岡町の高台にある古い家に一人で住んでいる。もともとは父親の実家で、祖父が五年前に死んでから空き家になっていた。最初見た時に、明良は『サイコ』という昔の映画に出てくる家を連想した。  彼の両親は彼が小学生の頃に離婚していて、母親の方は三年前に交通事故で死んでいた。長い間父親と二人暮らしだったが、突然父親はブラジルでの海外勤務が決まった。  明良は一緒に行こうとしなかった。口では「来年は受験だから」とか「生活の環境が変わるから」とか、言い訳を口にしていたけれど、本当のところは一人暮らしをしてみたいだけだった。  もちろんそのあたりは父親も十分承知していた。普段は頑固な息子に説得されがちだったが、その時ばかりは絶対に首を縦に振ろうとしなかった。 「受験もあるし、外国には行きたくないな」と、明良は言った。 「それでも、まずいだろう」 「自分の息子が信用できないのかよ」 「そうは言ってないだろう。ただ、お前は放っとくとなにするか分からんからなあ」 「どこが信用してるんだよ!」  ……というような情けない会話がえんえんと繰り返された末、神岡町に住む叔父に相談が持ちかけられた。  最初は叔父も反対していたが、結局、空き家になったままの祖父の家に住むなら、という条件つきで一人暮らしが許されることになった。もっとも叔父の家はすぐそばにあるので、監視されていることに変わりはなかったが。  準備を終えると、明良は仏壇の前で正座して手を合わせる。中には母親と祖父の写真がある。こんなところに母親が「いる」わけではないと