クオリディア·コード
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WORLD
〈世界〉
防衛都市に暮らす生徒が持つ特殊能力。戦争末期、隔離されたコールドスリープ施設の中で夢を見た子どもたちは、一様に世界の見え方が変わった。
彼らはその夢で見た世界を現実に再現することによって超自然的な力を使う。それぞれの〈世界〉はそのとき見た夢の内容によって異なっている。
クオリディア・コード
〈世界〉の再現や、各種端末の仕様に大きく寄与するとされる特殊紋様。すべての子どもたちの首筋に刻印されている。
〈アンノウン〉
正式名称は第一種災害指定異来生物。二九年前、突如として世界を襲った正体不明の敵。
無差別爆撃などにより、人類に壊滅的な被害をもたらす。八年にわたる戦争の後に撤退したものの、現在も世界中に残されたゲートを通って散発的に侵攻する姿が見られる。
南関東防衛都市機構
東京湾に存在する海上ゲートから現れるアンノウンを迎撃するため、東京、神奈川、千葉には〈世界〉を身につけた少年少女たちが所属。最前線で人類の領域を守っている。
彼らは戦争への貢献度をスコア化することでランキング付けされ、競わされている。
内地送り
怪我や病気、不祥事などで、防衛都市から中途で内地に転属させられること。通常の年数を経た上での卒業とは扱いが異なり、内地での立場やその後の進路に影響を及ぼすと言われている。
ダッシュエックス文庫DIGITAL
クオリディア・コード
渡 航(Speakeasy)
CONTENTS
#00 序章
#01 残存世界のグロリア
#02 紺碧のカリカチュア
#03 森閑のアリア
#04 炭鉱のカナリア
#00 序章
空が赤い。
風ごと巻き込んで燃え落ち行く太陽。
銅のように焼け爛れて溶けていく月。
地を這うように、血を舐めるように紅蓮の火柱が上がっている。まだ、夜半に差し掛かったころだというのに、大海で出くわす払暁と見まがわんばかりの明るさのせいで、そこに生きる人間も、死んだ人間も、皆等しく影絵の中の存在に変わっていた。
湧いていた雲の隙間から顔を覗かせるのは、煌めく星々ではなく、異形とも呼ぶべき虚ろ船の群れだ。
てらてらと黒光りする外殻。
ぬらぬらと伸ばされる触腕。
ゆらゆ