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作者:,賀茂川
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-09-02(讲谈社)
价格:¥594 原版
文库:讲谈社轻小说文库
丛书:京·ガールズデイズ(2)
代购:lumagic.taobao.com
「地下鉄に乗るっ」シリーズ 京·ガールズデイズ2 ~太秦萌の九十九戯曲~ ご利用になるブラウザまたはビューワにより、表示が異なることがあります。 口絵・本文イラスト/賀茂川 デザイン/ムシカゴグラフィクス 1  早朝の風が吹き抜ける池の周囲を一人の少女が走っていた。  短く切った髪と、小麦色に日焼けした肌。  見るからにスポーツ少女といった様子の彼女は、その体を躍動させるようにして、大きな池の周囲を囲む遊歩道を走り続ける。  彼女の名は松賀咲、京都のとある学校に通う女子高生だ。  京都市の北にあるここ宝が池は、公園のほぼ中央にあり、ジョギングをするにはもってこいの場所で、咲のほかにも多くの人が思い思いに駆けていた。 「おはようございます!」 「おう、おはようさん!」  咲は前から走ってきた中年男性に挨拶をして、すれ違う。  ちなみに今の男性について名前も知らない。ただいつもここを走っていて顔を合わせる人に対しては、不思議な連帯感を持っていた。  その後も他のランナーたちと、朝の挨拶をしながらひたすらに走る。  疲れてくれば時には目を横に移し、朝日を受けてキラキラと輝く池の水や、そこで遊ぶ鴨の群れを眺める──すると咲の視線の先にある池の水面が、突然ごぼりとふくれ上がったかと思うと、そこからにょきっと細長いシルエットが姿を見せる。  一見すれば太古に滅んだ首長竜のようにも見えるその姿は、現代人からすれば怪物以外の何物でも無い。  ただ咲以外の人間には、そんな姿などまったく見えていないようで、そちらに目を向ける者は誰もいない。  その怪物は一度空に向かって、どこかもの悲しい鳴き声を上げたかと思うと、また水中に潜ってどこかへと行ってしまった。 「タッシーてば、ま~た寝ぼけて」  しかし咲はその様子に一切の動揺を見せず、ただそう一人つぶやく。  彼女にとってその怪物の姿は、もはや見慣れたものだ。  彼の名はタッシー、この宝が池の主ということだった。  三ヵ月ほど前に初めてその姿を見た時はさすがに驚きはしたものの、特に悪さをするわけでも無く、ときおり姿を見せては今のように鳴き声を上げるだけで怖い相手ではない。  そんなこともありながら公園を北に抜けて市街地へと入ると、先ほどまで遠くに見えていた国際会館の前までやってくる。