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作者:渡辺仙州,Ryp
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-09-16(小学馆)
价格:¥637 原版
文库:Gagaga文库

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鬼器戦記 小学館eBooks〈立ち読み版〉 鬼器戦記 渡辺仙州 イラスト Ryp 目次 序、この海の上で 一、姉が来たりて 二、鬼龍と闘いて 三、姉と呼びて 四、恋路にて 五、疑心暗鬼で 六、鬼界のトンネルにて 七、白い鬼人に追われて 八、守るべき何かで 終、久崎書房の台所で あとがき  こんなにも、世界は理不尽で。  だけどぼくたちは、闘い続けなければならなくて。  序、この海の上で  強風の吹き荒れる夏の豪雨のなか、久崎夏樹が、泥まみれの校庭脇を水しぶきを上げて走っていた。  半袖の白いスクールシャツを着、下は紺色のズボン。濡れた衣服が体温を奪い、少し茶色のかかった前髪からは水滴が絶え間なく落ちる。  三メートルほどの高さの金網フェンスが右手にあり、赤茶色に錆びたトンボが何本か立てかけてある。  前方には灰色の、煉瓦造りの体育倉庫。その緑色のトタン屋根に大量の雨粒が弾かれる。 「警告、久崎夏樹。出撃命令は出ていません。すみやかに日常生活へ戻りなさい」  雑音混じりの無機質な女性の声が、頭のなかで響いた。  だが夏樹はかまわず、体育倉庫に向かって走る。 「命令違反。警戒段階を一つ上げます。繰り返します。すみやかに日常生活へ戻りなさい」  体育倉庫の裏にまわりこむ。  まわりに誰もいないことを確認してから、胸に両手を当てた。  胸のあたりが白く光りだす。 「鬼約第三条、出撃要請時以外の『鬼器』の使用は認められません。違反した場合は」 「うるさい!」  夏樹は大声で叫んだ。 「どうして姉さんを一人で出撃させた!」 「出撃は『天帝機構』が決めることです。あなたの関与することではありません。繰り返します。すみやかに、日常生活に戻りなさい。鬼器を使用した場合、『天師』を送ることになります」 「勝手にしろ!」  夏樹は両腕を大きく開いた。  意識が、胸の光のなかへ移る。  直径十センチほどの黒い球体が、胸から飛びだした。  空中で身長二メートルほどの黒い人の形に変わる。  地面に着地した。  鳥のように尖った嘴。  爛々と赤く輝く三つの目。  黒い体の表面は、透明の鱗で覆われている。 『鬼』を乗せる器──『鬼器』だ。  夏樹の『鬼』は、この鬼器と呼ばれる人形のなかに移し変えられた。  夏樹の体が